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子どもに読み聞かせたい、おすすめの絵本2選

今回のかきあつめのテーマは「本の紹介」。今回は圧倒的にポジティブになる作品と、友情について考えさせられる作品の2作品を紹介したいと思う。

実は筆者には甥っ子と姪っ子が合計8人いて、年末など実家に帰ると彼らから絵本の読み聞かせを要求されることがある。今回紹介する2作品は彼らに読み聞かせたい絵本として選んだもので、お子さんがいらっしゃる人や、子どものプレゼントを考えている人にも参考としてもらいたい。

圧倒的にポジティブな絵本『It's Okay To Be Different』

まず紹介するのは2009年にアメリカのTodd Parr著の『It's Okay To Be Different』という絵本である。

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記事を書くにあたり本作を調べていると、作者であるTodd Parr氏が朗読しているYou Tubeがあった。3分で全て読みきるような絵本で、文章の英語も簡単なので、是非見てみてほしい。(動画の音声はネイティブなのでちょい早め。難しかったら字幕推奨。)

うーむ、なんともまぁポジティブな作品である。動画の中の「It's Okay」を抜粋してみよう。

It’s okay to be missing a tooth (or two or three).
(歯が1本なくたっていいじゃ~ん(2本でも3本でも))  
It’s okay to have no hair.
(髪の毛がなくたっていいじゃ~ん)  
It’s okay to have an invisible friend.
(見えない友達がいたっていいじゃ~ん)
It's okay to eat macaroni and cheese in the bathtub.
(バスタブでマカロニチーズ食べたっていいじゃ~ん)

とまぁこんな感じで、終始全肯定である。元が多民族国家アメリカの絵本なので、内容も多様だ。文面だけでなく絵もカラフルで力強く、ヒトの肌の色が緑色だったり青色と別け隔てがない。「It’s okay to be a different color.(肌の色が違くたっていいじゃ~ん)」や「It’s okay to have wheels.(車椅子だっていいじゃ~ん)」のような見た目の内容だけでなく、「It’s okay to be adopted.(養子縁組だっていいじゃ~ん)」のように社会的なもの、「It’s okay to be proud of yourself.(自分に誇りを持ったっていいじゃ~ん)」のような精神的なものまで、幅広く肯定してくれる。シンプルな絵とメッセージだからこそ、子どもたちに多様と寛容を伝わる絵本といえよう。

日本語版もあるようなので、もし日本語で読みたいという人がいたらこっちを読んでみてはいかがだろう。大阪弁で翻訳されているが、レビューによるとしっくりハマっているらしい。

正しい友情の尊さ『Cornelius』

次に紹介する本は、スイミーやフレデリックで有名なレオ・レオニ著の1983年発表の作品『Cornelius (コーネリアス)』である。

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レオ・レオニの作品は好きなものも多いのだが、本作は特に好きなので原作と日本語訳で持っている。

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絵本紹介サイトである「ピクトブック」のあらすじを抜粋して紹介しよう。

あらすじ
あるところに、普通なら四つん這いで生まれるはずが2足歩行で生まれたコーネリアスというワニがいました。彼は遠くを見通すことが出来たので、歩けることを他のワニたちにその凄さを伝えようとしますが、「それがどうしたのさ」と誰も聞いてくれません。

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そんな他のワニ達の態度に、コーネリアスは怒って出て行くことにしました。そして、出会ったのが一匹のサル。逆立ちしたり、尻尾で木にぶら下がったり、コーネリアスに出来ないことがこのサルには出来ました。

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さすがのコーネリアスもこれにはびっくり仰天。サルと同じように逆立ちしたり、尻尾で木にぶら下がったりしてみたくなったのです。
そこで、コーネリアスはサルに教えを請い、一生懸命に練習しました。サルもコーネリアスを手助けするのが嬉しくなりました。

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そして、とうとうコーネリアスは、逆立ちしたり、尻尾で木にぶら下がったり出来るようになり、胸を張って川岸に帰るのでした。
それでも他のワニ達は、コーネリアスが逆立ちしたり、尻尾で木にぶら下がったりしてみても「へえ それで!」の一点張り。
その態度に落胆して腹を立てると、コーネリアスはサルのもとに帰ることにしたのですが、背を向けた川岸を帰り際に振り返ると・・・。(ピクトブックあらすじより

この話の捉え方は人それぞれなのかもしれない。「コーネリアスという天才の話」と捉える人もいれば、「できないからといって、意固地になっては成長はしないぞ」という道徳的な話と捉える人もいると思う。筆者はどちらもその通りだと思いつつ、これは「好奇心をもって素直に生きれば、自分にあった正しい友情に出会える話」だと考えている。

コーネリアスがサルに会ったとき「スゴい!僕にも教えてくれよ。」と素直に教えを請うのがとても良いし、それに対し「Of course!(もちろんさ!)」と当たり前のように手伝いそれを喜ぶサルは、外に出たからこそ見つけることが出来た正しい友人ではないかと思う。

僕がサルのような見上げるような人にあったときには、卑下せず素直に教えを請おうと思えるし、また逆に、もし自分に質問をしてくれるヒトがいたら、友人として当たり前のように習得を手伝おう。そう思える絵本だ。

「へぇ、それがどうしたの?」と周りのワニから言われ続けたコーネリアスが、それでも凹たれず外に出て、友情によってさらなる知見を見出す。最後コーネリアスの逆立ちを見て「へぇ、それで?」と言ったワニたちがどうなるか、そのオチは是非絵本で見てほしい。

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冒頭の甥っ子8人への絵本の読み聞かせは、もっぱら奥さんがその対応をしてくれており、これがなかなかの重労働でいつも頭が下がる思いになる。

親である兄達は「(読み聞かせにキリがないから)テキトーに切り上げていいよ」と言うが、奥さんは手を抜かない。見てみると甥っ子たちはいつも真剣に聞いているので、キチンとメッセージを伝えて読み聞かせをすれば、4,5歳の彼らにも十分理解できるというのだ。

今回紹介した2冊も、この子どもたちに読ませたいと思って買った本である。子どもたちの幾人は小学校に上がり、英語もできる年齢になってきた。今年は奥さんに変わって筆者が心を込めて読み聞かせてやろう。年末が楽しみだ。

記事:アカ ヨシロウ
編集:彩音

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