モノポリー嫌がってんじゃねぇよ、兄貴
今回のかきあつめのテーマは「自己紹介をゲームで語る」だ。
このテーマで書くことについて正直「困ったなあ」と思っていた。というのも、小学校の頃は人並みにテレビゲームをしていた私だが、中学に入った頃からそんなにやっていないのだ。ハマるゲームがなかったというのもあるが、そもそも「ゲームは時間の無駄だ」と思ったのが理由である。
そんな筆者がゲームについて考えていたら、長男の存在を思い出した。私は4人兄弟の末っ子なのだが、この4人のなかで長男が最もゲーマーであった。最近は仕事と子育でゲームどころでないと聞いているが、彼は幼少期からのゲームオタクで、社会人になってもRPGのキャラクターをマックスまで育て上げるようなゲーマーだった。
私が高校生の頃だったか、社会人になった兄に「ゲームなんてしたって仕方がねぇだろ」と言ったことがあった。兄はそれに対して「仕事も忙しいんだから、ゲームくらいさせてくれよ」と答え、「あぁ、根本の考え方が違うんだなぁ」と感慨深くなったのを覚えている。
兄と私ではゲームに対する基本の姿勢が違うのであった。私は「ゲームでもなんでも、なるべく全てことを現実に紐付けたい」と考えるのに対し、兄は「ゲームと現実は切り分けたい」と考えるのだ。これはゲームだけでなく、他のアミューズメントでもそうで、彼は小説や物語が好きなのに対し私は実用書やドキュメントが好きである。
冒頭の通り、私は中学のころからゲームをしていない。その理由は、「ゲームしたって仕方がねぇな」と思ったからである。RPGで一生懸命レベルアップをしても、電源を落とせば時間が経っているだけである。こんな不毛な時間だったら寝ている方がマシだったなと思ってしまうのだ。
おそらく私は現実的というか、合理的なのだろう。分かりづらい話になるが、高校生の頃に友人からエロゲーを借りた際に、「キャラクターとのやり取りを全部すっ飛ばして、ヌキやすい場面だけを探してる」と感想を言ったら、「お前エロゲーむいてねぇよ」と言われたことがある。そう、私とはそんな人間なのだ。
とまぁ前置きが長くなったが、そんな私にも好きなゲームがある。それはボードゲームの『モノポリー(Monopoly)』である。
(写真:Amazonより)
モノポリー(英語:Monopoly)は20世紀初頭にアメリカ合衆国で生まれたボードゲームの一つである。プレイヤーは双六の要領で盤上を周回しながら他プレイヤーと盤上の不動産を取引することにより同一グループを揃え、家やホテルを建設することで他のプレイヤーから高額なレンタル料を徴収して自らの資産を増やし、最終的に他のプレイヤーを全て破産させることを目的とする。(Wikipediaより)
Wikipediaの説明にもあるように、モノポリーというゲームは双六形式で不動産を取引するボードゲームだ。このゲームを知らない人に、「人生ゲームみたいなもの?」と言われることがあるが、性質は全く違う。サイコロを使うという点では同じ運ゲーだが、モノポリーはプレイヤー同士でやり取りが発生するのが大きな違いだ。
プレイヤーは駒を進めてマス(不動産)を購入し、そのマスに滞在したプレイヤーからレンタル料を徴収する。ゲームを進めていく中でお互いの不動産を『交渉』で交換したり、高額に徴収できるホテルを『競売』で競り落とすなど、プレイヤー同士の顔を突き合わせた駆け引きが存在する。1回のゲームで2時間は終われない、簡単に言うとヒリヒリするゲームだ。
モノポリーは4~5人が最適人数なので、年末など兄弟が集まったときにはよくやっていた。そしていつもこのゲームを提案するのが私であり、長男が常に難色を示すのだ。嫌がる理由は「長いし疲れるから」であった。
彼はゲームをやるのにヒリヒリした時間を作りたくくなかったのである。私は逆だった。どうせ時間をかけてゲームをするなら、人間同士がバチバチにすり減らすようなゲームのほうが意味があると思っていた。
私はいつも「根性ねぇなぁ」と彼を無理やり参加させるのであった。
ーーーーー
年末にモノポリーをしていたのは10年ほど前までだった。その後、兄弟たちも結婚し子供ができて、兄弟だけでゆっくりとボードゲームをできる環境ではなくなったからだ。
私も30代になって当時の兄の年齢に近づき、彼の忙しさやゲームに「非現実」を求める思考も理解できるようになってきた。今なら10コ下の弟が鼻息荒くモノポリーを勧めてきたら、疲れたといって難色を示す気持ちも分からないでもない。
・・・だが兄よ、この間の年末はひどかったんじゃないですか?おたくの長男(11歳)がモノポリーを持ってきたとき、頑なに拒否ましたね。あのとき大人は3人いたから、あなたが拒否しなかったら可能でしたよ。確かにちょっと技術が必要なゲームですが、僕は11歳のときには十分ハマってましたから、年齢的には遊べるゲームですよ?
大丈夫です。最初のうちは負けてあげますから、安心してください。僕という叔父さんが、お子さんをモノポリー好きの現実派な「根性のあるオタク」にしたてあげますから。
今年の年末は難色示さないでくださいね。
記事:アカ ヨシロウ
編集:らいむ
================================
ジャンルも切り口もなんでもアリ、10名以上のライターが平日(ほぼ)毎日更新しているマガジンはこちら。