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「森山大道 路上スナップのススメ」:スナップ写真に魅せられる一冊

森山大道は「ブレ・ボケ・アレ」と称される独自の作風で、スナップ写真の新たな可能性を切り開いてきました。本書「路上スナップのススメ」は、その森山が路上スナップの本質と、カメラマンとしての哲学、さらに具体的な技術を語った入門書です。初心者からベテランまで、すべてのカメラ愛好家にとって示唆に富んだ一冊と言えるでしょう。


スナップ写真の本質:「路上に立つこと」

本書で最も印象に残るのは、森山のスナップ写真に対する信念です。彼にとってスナップとは、**「路上に立つこと」**に始まり、そこで何を見つけ、何を感じたかを瞬間的に記録する行為です。

  • 路上の魅力:東京や北関東など、街や地域に息づく「何気ない瞬間」を切り取ることが、スナップの醍醐味と語ります。

  • 視点の重要性:被写体を見つける目を磨くため、森山がどのように日常を観察しているかが詳述されています。


モノクロからカラーへ:新たな挑戦

森山大道と言えばモノクロ写真のイメージが強いですが、本書ではカラー写真も収録されています。モノクロとカラー、それぞれにおける表現の違いや魅力についても触れられており、スナップの多様性を感じさせます。

  • モノクロ:コントラストの強調と陰影の美しさ。

  • カラー:色彩が持つ情報量と感情の伝達力。

これらをどう使い分けるか、森山の視点から語られる内容は実践的でありながら哲学的です。


「ブレ・ボケ・アレ」の美学

森山のスナップ写真を象徴するのが「ブレ・ボケ・アレ」という要素です。一見すると「失敗」と思える要素が、スナップ写真では独特の雰囲気や臨場感を生み出します。本書では、その意図や撮影プロセスについても詳しく語られています。

  • ブレ:被写体の動きや撮影者の動きが、写真にエネルギーを与える。

  • ボケ:ピントを外すことで、想像力を喚起させる。

  • アレ:フィルムの粗さやノイズ感が、作品に「生々しさ」を加える。


スナップ撮影の具体的なノウハウ

本書には、スナップ初心者に向けた実践的なアドバイスも満載です。カメラの使い方や撮影時の心構え、さらには場所選びや撮影タイミングまで、森山ならではのノウハウが詰まっています。

  • カメラ選び:フィルムカメラとデジタルカメラ、それぞれのメリットを活かす方法。

  • 撮影の習慣:日常的にカメラを持ち歩き、常に「撮りたいもの」を探す姿勢の重要性。

  • 光と影:光の方向や強さをどう活用するか。


感想:スナップ写真の新たな魅力を発見

「森山大道 路上スナップのススメ」は、スナップ写真を単なる記録ではなく、表現の一つとして捉える森山の情熱が伝わる一冊です。撮影技術の解説だけでなく、写真を通じて何を感じ、どう表現するかを考えさせられる内容となっています。

特に「路上に立つこと」への執着は、写真に対する固定観念を覆し、どこにでも「作品」が存在することを教えてくれます。日常の中に潜む非日常を見つける感覚を、ぜひ本書で学んでみてください。


こんな人におすすめ

  • スナップ写真に興味がある人

  • 写真表現の幅を広げたい人

  • モノクロ写真やフィルム撮影が好きな人

  • 森山大道の作風に憧れる人

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