『色彩心理』 日本ならではの伝統色を感じる。そこにあるのは、時代背景から見える”日本人”としての”在り方”を考察Part②
前回の記事で、少しだけ日本の伝統色に触れたが、時期としては2つの時期に大別されるそうだ。
古代色と、近世色。古代色は前回述べた大陸から伝わった文化の影響で『雅』『高貴』という言葉にイメージされるような色。近世色は江戸時代になり平和な日本が続いている間に、”種”としての日本人が増加していく中で広まった文化と合わせて、当時の時代背景から様々な色が発案され、それが現代にまで繋がっている。
んで、日本には何かくすんだ色が多いと言ったが、色彩心理学の先生に尋ねた所、日本の『奢侈禁止令』は以前からあったそうだが、江戸時代の士農工商の身分制度でさらに、”色彩”の制限がかかったそうだ。
自分の好きな色はきれないということになるから、現代人には考えられない文化だろうが、それが当時の日本。
着る服の素材まで指定されるというぐらいだから、相当な物だったことが推察される。当時の人々はどう感じていたのだろうか。
その奢侈禁止令を受けて、民の間で流行になったのが
【四十八茶百鼠】
しじゅうはっちゃひゃくねずみ と読む。人の欲とは面白いもので、昔も今も変わらず”自分好みの色の服を着たい”という欲求はあったそうだ。そこで手先の器用な日本人の職人が、色々と試行錯誤をし色調を工夫して染めたのがこの”四十八茶百鼠”だ。
茶色系統や鼠色系統が48色100色と言われているそうだが、実際には100色以上の色名があるそうだ。例えば
茶→江戸茶・団十郎茶・芝翫茶・璃寛茶・利久茶・媚茶・鶯茶・千歳茶
読み方がわかんないでしょ。”茶”と言えば、”ブラウン”のイメージが大きいいが、日本人はこれ以外にも茶を表現している。実際に茶ついていても緑系色もあるし、色の名前に”●●茶”とついていても、実際に現代人の我々からみると、『ワインレッド』のような色も存在する。
そもそも、どっかからそんな色見つけてきたん!?と驚く。
鼠→江戸鼠・銀鼠・梅鼠・葡萄鼠・黒鼠・藍鼠・臙脂鼠・利久鼠
これも読み方に困るが、なんとなくイメージも出来そうだ。鼠色は、グレーやシルバーだろう。だが、茶系の鼠色や、青系の鼠色など、実に多彩だ。日本人の感性はすごいと、諸外国から言われるのには、このような先祖の弛みない努力・時代に屈しない”生きる”ということ、どのように工夫できるか ということを考えさせられる。
どちらかと言えば、茶と鼠色のくすみがかった色を述べたが、他にも現代人が見ても”はっ!”とするような鮮やかな色は、実は当時からある。庶民ではなく、武士階級などが使っていた色かもしれないが。あくまでも私の主観だから、参考程度。
銀朱(黄みの強い赤色) 玄(赤や黄みを含んだ深みのある黒色)
黄櫨染(赤みの暗い黄褐色) 金春色(明るい緑みの鮮やかな青色)
萩色(紫みの明るい紅色) 天鵞絨(暗い青みの緑色)
などなど。興味がある人はぜひ、以下のサイトで見て欲しい。
そんな感じで、日本人は、比較的落ち着いた色を選ぶ傾向もあるそうだが、それはDNAに組み込まれているからかもしれない。
色からみる、日本人の繊細さ。男女や年齢によっても色の見え方は違うし、現代はパソコンで色の表現力は上がってはいるものの、微妙な所で違うかもしれない。
普段から色に囲まれて生活している私たちも、ふと気づけば
『あれ、この机の色って、何色?』と思い立った時に、調べてみる。
その色の成り立ち、色を作った人の思いを考えてみたり、
その色の物を身につけていた当時の”日本人”に思いを馳せる。