地方議会のあれやこれ

請願と意見書

請願審査
「議会は、住民の代表機関として、民意を広く行政に反映させるため、単に議会本来の権限事項処理するだけでなく、町村の事務や議会の権限に属する事項全般に関する請願を受理し、これを処理する権限を有する。」とされています。
この請願とは、憲法第16条に規定された国民の権利として、公の機関に対して要望を述べる行為であります。

地方議会に対する請願は、請願の趣旨、提出年月日、請願者の住所及び氏名を記載し押印した文書で行い、議員の紹介が必要となります。この規定は、地方自治法124条と標準規則89条(各議会で条が違う場合もあります)に記載しています。

規定のとおり提出された請願は、議会において審査し、採択または不採択の決定がなされます。

採択と決定されると、議会の権限に属するものについては、それぞれ必要な措置を取り、また首長その他の執行機関の権限に属するものについては、それぞれの機関に送付することになります。


私の所属する議会では、この流れで請願を受理し本会議で上程、その請願内容に関係する常任委員会に審査を付託、委員会での審査結果が本会議に報告されます。その報告に対しての賛否で請願の採択・不採択が決定します。

ここで委員会へ付託され審査されますが、この際の委員が賛否を判断するために請願の紹介議員に対して質疑をすることが多々あります。

この質疑でどれだけ請願者の意をしっかりと説明できるかが、判断に大きく影響すると思っています。

紹介議員

請願の紹介議員は私も何度かなりましたが、得意分野もあれば全くわからない分野も多く、毎回大変勉強になります。

補足説明として請願の紹介理由をはじめ、請願趣旨の説明して現状と課題などを理解してもらい、請願を採択していただくように話します。

そのために、請願者や関係者などと何度も話しをします。

なかには、政治的スタンスや考え方、立場の違いなどで紹介議員をお断りする場合もありますが、その場合でも最低限の手順や手続きについてのアドバイスはします。

紹介議員として私が心がけていることは、請願者の意図や請願事項の説明ができなくて採択されなかったりすれば、請願者に対して迷惑をかけてしまうので、しっかりと勉強するようにしています。

当然のことですが、請願の紹介議員は法律で定められていることなので、重要な役割だと思います。議員必携では「「紹介」とは、請願の内容に賛意を表し、議会への橋渡しをすることである。」としているように、その請願の内容をよく理解していることが大切だと思っています。

中には、請願の趣旨をよく理解していない場合や、その請願で言っているデータや発言の裏付けなどを確認しないまま紹介議員になり、疑問点を質問しても回答できない場合も多く、「多くの人が感じている」「みんな言っている」など抽象的で感覚だけの説明しかできない場合も見られます。

意見書(委員会発議)
先に記述したとおり、議会の権限に属するものについては、それぞれ必要な措置を取り、また首長その他の執行機関の権限に属するものについては、それぞれの機関に送付することになります。
その中で、国や県などに意見書として提出する場合があります。
その際は委員会が本会議に提案し、本会議の結果をもって各機関に提出されます。

これまでが大凡の請願の対応になります。


意見書(議員発議)
意見書はこのほかにも各議員が提案する場合もあります。
これは議員の権利の一つにある「議案提出権」によるもので、提出には一定条件があります。
私もこれまで何度か提案し、可決採択されましたが、結構大変でした。
どの意見書も同じですが、提出には適切な時期というものがあると思います。
内容によっては時期が重要ではない場合もありますが、やはり「適切な時期」はあると思います。

県や国などが計画して予算を付けしたり、法律や制度を整備してから「適切な執行を」などと言ったところで、意見書の意味をなさない場合もあります。
本来、委員会等を設置している問題でも議員間で議論することもなければ意見書を出すこともなく、「動向を見る」としてアクションを起こさなければ時期を逸してしまい「議会は何もしないのか」とお叱りを受けます。
そうならないように、誰も動かないので私が関係者などと相談して意見書を作成し提案したことも何度かありましたが、それを面白く思わない方からは目の敵のように扱われます。だからと言って、面と向かって反対すれば住民から批判されることが目に見えるので、同じような内容のものを提案したりしてきます。しかし関係者との協議を重ねて作成したものと、付け焼き刃のように作ったものではそのクオリティは一目瞭然で、原案のとおりで可決しました。

経験の差と言えばそれまででしょうが、議員としてのせっかくの武器(発議権などの権利)は有効に使うべきで、適切な時期にその権利を行使したいものです。

今回は請願と意見書について書いてきましたが、こう言った制度もあるので、私自身もそうですが制度を有効に使っていけるように学んでいく必要があります。

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