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Q.会計士がダメなら、税理士またはUSCPAはあり?

※元記事



質問

松本先生、こんばんは。

先日、会計は好きだけれども、受かる気がしないという理由で
会計士試験からは撤退するという友人と話をしました。

会話の中で会計が好きなのであれば
税理士、USCPAという選択肢もあるのではと話に上がりました。

ただ私も友人も上記資格の実態を十分に理解していない
ことからあまり有意義な話はできませんでした。

そこで松本先生に質問です。

「会計士がダメなら、税理士またはUSCPA」という
考えにはどのようにアドバイスをいただけますでしょうか。

宜しくお願い致します。(ハンドルネーム:ひろまさ)

どうも、松本です。


Q008に引き続き、会計士試験の撤退に関するご質問です。


素直に思いを綴ってくれているので、回答のしがいがあります。


但し、


「会計士がダメなら、税理士またはUSCPA」という
考えにはどのようにアドバイスをいただけますでしょうか。


という質問内容がいささか抽象的ですね。


2通りの解釈がありそうです。


「会計士がダメなら、税理士またはUSCPA」という考え方で、果たして合格できるのか?(「方法論」について:以下、質問Aとします。)


という意味と


「会計士がダメなら、税理士またはUSCPA」という考え方自体に問題はあるのか?(「精神論」について:以下、質問Bとします。)


という2つの意味です。


「2つの資格の実態を十分に理解していないことから、あまり有意義な話はできませんでした」という文脈から判断すると、前者の質問Aだと推測します。


但し、この際なので、2つの質問があるものとして回答してみたいと思います。


「会計士がダメなら、税理士またはUSCPA」という考え方で、果たして合格できるのか?(「方法論」についての質問A)


まずは、会計系資格の難易度を確認してみましょう。


以下が、松本講師の考える資格の難易度と平均的な勉強時間です。





ここから、2級レベルがド素人であることは明らかです。


「おっ、君すごいね!」と呼ばれ始めるのは、日商1級取得からです。


公認会計士は5,000時間(短答3,000時間+論文2,000時間)が合格者の平均的な勉強時間でしょう。


最短最速だと2,500時間(短答2,000時間+論文500時間)での合格は可能です。(効果的かつ効率的な学習なら可能です。)


質問Aの場合、これまでの会計士試験に費やした時間にもよりますが、税理士やUSCPAにスライドしても十分通用すると思います。


税理士の場合、簿記論、財務諸表論は必須であり、所得税と法人税からの1教科は必須、残りは税法から2教科という内訳です。


詳細はこちらのサイトが分かりやすいです。(各科目の平均合格率は12%前後


会計士の科目でいうところの、「簿記」「財務諸表論」「租税法」はそのまま生かせます。


米国公認会計士(USCPA)は


FAR(Financial Accounting & Reporting)=財務会計

BEC(Business Environment & Concepts)=管理会計・経済学・IT・コーポレート・ガバナンスなど

AUD(Auditing & Attestation)=監査

REG(Regulation)=関連法規(税務、会社法)


の4科目からなり、税理士同様、科目合格制度が採用されています。(各科目の平均合格率は50%前後


米国とはいえ、公認会計士試験であることに変わりはないので、日本の公認会計士試験との相関性は税理士以上です。


・出題はもちろん英語


選択式(マークシート式)のみで、記述問題はない


社会人受験生が多い(学生は少ない)


試験であるという特徴を有します。


会計士の科目でいうところの、「簿記」「財務諸表論」「管理会計論」「監査論」「企業法」「租税法」「経済学」はそのまま生かせます。(ほぼ全部やん。)


以上より、質問Aの結論です。


公認会計士がダメだからという理由で税理士やUSCPAにスライドしても、公認会計士の勉強はかなりの部分は生かせますし、合格は可能です。(方法論的には。)


問題は、次の質問Bの方です。(こっちの方が重要です。)


「会計士がダメなら、税理士またはUSCPA」という考え方自体に問題はあるのか?(「精神論」についての質問B)


結論から言います。この考え方は大問題です。


社会で身分的・経済的に成功を収めていく人の考え方ではありません。


なぜなのか?


これを紐解いていきます。


まずはこんな疑問から。


「そもそも税理士やUSCPAを取得して、何がしたいの?


やりたいこと(目的)があるから、それをどうやって達成しようかという(手段)の話になるのです。


出来そうだから、という近視眼的かつ短絡的な理由で税理士やUSCPAを取得しても、それがやりたいことに繋がらなければ何の意味もありません。


例えば、将来独立したいと考えるのであれば、USCPAを取得しても意味はないです。日本における独占業務はないからです。


一方で、将来外資系企業にて海外勤務をしてみたいのであれば、USCPAの取得には意味があります。英語と会計の強みを生かせるからです。


What(何をやりたいか?=目的)があるから、How(どうやってやろうか?=手段)が意味を帯びるわけです。


もともとすべきでなかったことを能率・効率良く行うことほど無駄なことはない。


経営の神様こと「ピーター・ドラッカーの言葉」です。


梯子を登ってみたら、実は登りたい道ではなかった。。。


梯子のかけ違いとは、まさにこのことです。


目的を最初に決めてから、梯子を登らないので、このような非合理な結果を自ら生むことになるのです。


今日は、これだけは覚えて帰って下さい。(超重要!)


成功する人は、「やりたいかどうか」を行動の指針にします。(目的ありき)

ダメな人は、「できそうかどうか」を行動の指針にします。(手段ありき)


成功する人の思考は、やりたいことありきで、できないことを出来るようにもっていきます。


できないことがあっても、簡単には諦めません。なぜなら彼には「やりたいこと」があるからです。


ダメな人の思考は、最初からできることありきで、それが「やりたいことなのか否か」は二の次です。


だから、出来そうだ思うことをやってみて少しでも難くて出来なければ、すぐに撤退を考えます。なぜなら、彼には「やりたいこと」がないからです。


成功する人とダメな人の違いは、能力によるものではありません。意識(マインド)による違いなのです。


成功する人は、「やりたいこと」のために努力しているので、その過程(プロセス)自体を楽しんでいる人が多いのも特徴的です。(幸福度が高い。


ダメな人は「やりたいかどうか分からない」もののために努力しているので、その過程(プロセス)は往々にして苦痛です。(幸福度が低い。


「受かる気がしないという理由で会計士試験からは徹底する」、これは成功する人の行動指針でしょうか、ダメな人の行動指針でしょうか?


出来ないを言い訳にしていますが、税理士やUSCPAにも科目によっては日本の会計士以上に複雑で難解な論点も多数存在しています。(税理士やUSCPAをバカにしてはいけません。)


その時、「受かる気がしないという理由で税理士・USCPA試験から撤退する」姿が私にはありありと透けて見えます。


以上より、質問Bの結論です。


公認会計士がダメだからという理由で税理士やUSCPAにスライドしても、やりたいことが明確でない以上、モチベが続きませんので、合格は不可能です。(精神論的には。)


「方法論」(質問A)では「合格は可能」
「精神論」(質問B)では「合格は不可能」


という、異なる結論になりました。


「方法論」は机上の空論です。結果は「精神論」がかく語りき。


私の講義の雑談でも、「いかに早く合格者マインドを形成するかが重要だ。」ということを強調している理由がここにあります。


今回のQ&Aを通じて、マインドの重要性を痛感して頂ければ幸いです。


それでは、Q007の最後に記述したものを再掲して、お別れにしましょう。


論文合格者は口を揃えて言います。


「この試験を通じて、本当に精神的に強くなった。」と。


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