『Shibuy Sillie Street』-16
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「人には『尻子玉』という部位が実は隠されています。河童に抜かれると語り継がれているものを聞いたことがありますよね。しかし、玉と言っても、球状ではなく、人によってそれぞれ形が違います」
オトキダさんは続ける。
「あなたの尻子玉は、完全に抜かれています。しかし、食べられたりしてはおらず、抜かれたものは、まだどこかに健在のようです。ゆえにあなたは生存しています」
尻子玉、本当に河童のアレなのか。なんだかわからないまま、聞かされている。生存しています。尻子玉が抜かれて、どうにかなると、俺は死ぬのか?
「生存という言葉に反応したようですね。そうです、尻子玉は体内から抜かれ、食べられたり、壊されたりすると、その尻子玉の持ち主は死亡します。逆に一部でも存在することができれば、生存することが可能です」
俺の尻子玉はどこに行ったんだ? 尻子玉を抜かれるような、酷い目に遭った記憶はないんだけど……どういうことなんだ?
「ちなみに、尻子玉が半分しかない者がそこにいる、サクラバさんです」
尻子玉が半分……? そのサクラバというのは最初に見えた、知らない男なのか、女なのか。そんなことは俺にとってどうでもいい。俺が知りたいのは、俺の尻子玉がどうして抜かれて、どこにあるのか、だ。だってそれがないと生きていられないんだろう?
「尻子玉はなにも本当に臀部から抜かれるわけではありません。ただ、抜ける生物は対象者に触れるだけで抜けるとされています。尻子玉を抜くことができる生物を暫定的に『CPA』と呼んでいます。まだ調査が進んでいない太陽系外惑星生物です」
は? 太陽系……外……? 河童って、妖怪じゃねぇの!?
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