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ピンク!ショック!ピンク!

 百メートル先にも関わらず、耳をつんざく爆発音と、爆炎の熱さは顔を焼くようであった。<灰色熊の銀山>の決闘仕様五百馬力を誇るバイクは相手の突撃槍の一撃を喰らい跳ね上がり、空中で二回転した後乗り手諸共爆発したのである。

 轟々と唸る炎の中から、決闘勝者のパステルピンクの軽バイクが軽快な音を立てながら現れた。乗り手も同じ色のヘルメットにライダースーツの派手な装いだった。

 前世紀文明崩壊後の世界で、こんな浮かれた服装の奴なんか揺り籠の中の赤ん坊にもいない。そんな奴が、ここら一帯を仕切っていた<灰色熊の銀山>を決闘で殺した。

「ちょっと、そこの子熊ちゃんや」

 乗り手が嗄れた声で話しかけて来た。俺の前に立ち塞がると、ヘルメットを外した。毛先をピンクに染めた白髪の皺だらけのババアの顔が現れた。

「うちのパピィちゃんはどこだい?」

 俺は黙って、ピンクのフリルドレスを着せられた出目金の子犬をババアに手渡した。

【続く】