Flashゲーム保存活動「Flashpoint」についての覚書


 ここではFlashpointについて調べ、分かったことをまとめていく。
 最小限の実用的な事柄をざっくり書く程度に留めるつもり。間違った記述もあるかも知れないが、それで何かまずい事があっても私Akasataは一切責任を負わないことをあらかじめお断りしておく。


Flashpointとは?

 細かい経緯は省くが、Flash Playerは2020年末日をもってサポートが終了される。これによりFlash製のゲームをプレイしたり動画を観たりが一切できなくなる
 この事態を回避すべく海外の有志が作ったソフト及び活動がFlashpointである。これは世界中のフラッシュゲームや動画を収集・保存し、サポート終了後も扱えるようにするというもので、すでに多くの賛同者の元多くのデータが集められている。
 ちなみにFlash製に限らず、JavaやShockwave、Unity Web Player、HTML5などによるゲーム等も現在集めている(他はともかく、現役のHTML5等まで収集ナンデ?)。

 もっとも収集作業はもっぱら無許可で行っているらしく、著作権的にはぶっちゃけクロなのだが「合法非合法を論じている時間はない。後からじゃ遅い、とにかく自分たちに出来ることを今やるのだ」という方針とのこと。実際のところ、この件で大々的かつ効果的に動けているのはFlashpointくらいと思われる。
 一応、著作権についても全く無視という訳ではなく、作者から取り下げ希望のメール等が来れば対応しているらしい(例えばNitrome製のフラッシュゲームは、要望により全てFlashpointから削除されたとのこと)。

まずはダウンロード

 まずはFlashpointのソフトをダウンロード(DL)する。メインサイトへ行き、左端のメニューから「Downloads」をクリック。

 ソフトはUltimateInfinityの2種類がある。
 Ultimateはその時点で収集済みの全ゲーム等のデータを一括でまとめてDLできる。常に手元にデータがあるので、最初のインストールさえ終えてしまえば各ゲームの読み込みは速く、かつネットに繋がっている必要もない。またアップデートがあった場合、同梱のアップデーターを使って容易に更新を行える。
 ただし全ゲーム等のデータを一括DL、ということで凄まじく大容量となる。Ver9.0の時点で478GB。DLし終えるのにどれだけかかるか分かったもんじゃない。

 Infinityは個々のゲームをDLするための、いわゆる端末だけをまずDLするというもの。こちらはVer9.0時点でのデータ単体で500MB、インストール時の必要条件としても2GBとハードルはかなり低い。普通はこちらがおすすめだろう。
 短所はアップデートがあった際、その都度手動で最新版をDLしインストールし直さなければならない点。また遊びたいゲームをこれまたその都度個別にDLする関係上、オフラインでは機能しない(DLして遊ぶ段階では可)。
 ほかにもいくつか違いがあるようだが、必須の知識というほどではなさそうなので割愛する。

実際の使い方

 ここから先はInfinityに限定した話をしていく。Ultmateは知らぬ。

 インストールを終えたらファイルを開き、「Start Flashpoint」をクリックするとソフトが起動する。または「Launcher」ファイルの中にある、赤い三角ロゴの「Flashpoint」でもよい。
 黒一色の背景にQuick StartとかExtraなどの見出しが付いたウィンドウがあるのがメイン画面。左上にあるHomeをクリックするとこの画面に来る。

 その隣にあるGamesをクリックすると、左と中央にずらずらとリストが出る。左は色んなユーザーの「プレイリスト」一覧(後述)。そして中央がお目当ての、Flashpointに入っているゲームの一覧である……といっても現時点(2020年12月下旬)でフラッシュゲームだけでも6万以上のタイトルがあるっぽいので、ここから馬鹿正直に探すのは愚の骨頂というもの。
 という訳で、画面上の検索ウィンドウ(Search...)を使って検索する。ゲーム名すなわちTitleの他、ゲームの作者の名前(Developer)、KongregateやNewgroundsのような大手ポータルサイトに登録しているゲームはそのサイト名(Publisher)でも検索できる。部分検索も可能(「たんしお」で検索すると「たんしおレモン」が無事引っかかる)。
 で、目当てのゲーム名が来たらダブルクリック(または右の、緑色のPLAYをクリック)。これでめでたくゲームが起動する。

 さて、検索では注意点がある。
 例えば日本語では検索できない場合がある。一例としてNIGORO作の「こちら未来開発宇宙支社」は、「Future Development Company」という名前でリスト登録されている。英語だ。
 ただ一方で、例えばSKT作の「モアイまわし」は日本語で検索できたりする。先のたんしおレモンも然りで、全部が全部日本語不可という訳ではない。
 ともあれ上手くヒットしない時は、検索ワードを工夫することも考えたい。ゲームタイトルではなく作者の名前とか、サイト名で検索するとか。

 また先ほどオフラインとチラっと書いたが、ゲーム内のオンライン的な要素は一切機能しないし利用できない。例えば全プレイヤーが対象のランキングだとか、他のプレイヤーとの対人戦とか、脱出ゲームをクリアした時の「あなたはン人目の脱出者です」の人数表示などである。その結果ゲームそのものに大きな欠けが生じたり、実質的にプレイ不能も同然という場合もあるかも知れないが、これはあきらめるしかない。

 さらに日本人が作ったゲームなのに、何故か英語版が起動するといったケースもある(例:MOFU2氏作の「Swan's Room」など)。この場合は画面右のウィンドウの下の方に「Japanese version」というのがあるはずなので、その右のLaunchを押せば日本語版をプレイできる。

ゲーム登録のリクエスト


 どう検索してもヒットしない場合は、そもそもFlashpointに収められていないゲームの可能性もある。当然だが全部のゲームが入っている訳ではないのだ(特に非英語圏、すなわち日本産)。
 そんな時もあきらめるのはまだ早い。Flashpoint側にお願い、すなわちリクエストをする手が残されている。

 まずFlashpointの公式wikiへ行き、Game Master Listというのをクリックする。ここにはその時点でFlashpointが取り扱っているゲームがずらり羅列されているが、目次(Contents)のすぐ上隣にある
"If you want to request a game and it isn't listed here, use this form. "
 この文章の末尾にあるリンクがリクエスト用フォームの入口になっている。

 ……が、ちょっと待て。もしかしたらそのゲームはすでに誰かがリクエスト済みかも知れない。先方に余計な手間をかけさせないよう、その辺の確認をリクエスト前にしておきたい。
 リクエストフォームのリンクがある文章のさらに1行上に、
 "If you want to see what games have already been requested, view this sheet. "
 この文章の末尾にあるリンクをクリックし、リクエストの現況が見れるページへ飛ぶ。フラッシュゲームのリク状況が見たいので、右側のPlatformsからFlashを選んでクリック。リクエスト中のフラゲ一覧が表示される。
 次に左上の、Flashpoint Game Requestsと書かれているその下のメニューから「編集→検索と置換」をクリック(ブラウザの検索機能は利かないので注意)。ゲーム名を検索ワードに書いたら一番下の検索タブを押す。
 ゲーム名がヒットすればすでにリクエスト済みということになる。その時を待とう。


 さて全くヒットしなかった場合は、未だリクエストすらされていないゲームということになる。ならその手でやるしかあるまい。
 ということでようやく行動に移る。改めてリクエストフォームのページへ行き、以下の必要事項を書き込んでいこう。

Game Title:ゲームのタイトル(必須)
Link to Game:ゲームがある場所のアドレス(必須)
Is this game NSFW?「職場で見るとヤバい」ゲームか否か(必須)
 要は暴力的とか性的だとかで、人前で遊ぶと当人の社会的立場がよろしくないことになるゲームかを尋ねられている。問題なさそうならNoでよい。
Platform:どんな製作環境で作られたゲームか(必須)
 選択肢はFlash PlayerとかHTML5とかが並んでいる。ここではフラッシュゲームの話なのでFlash Playerを選べばよい。それ以外の場合は当てはまるものを選択する。

 次のThis game is multi-asset (needs multiple files to work)は、よくわからなければ飛ばしてもよいと書いてあるので無視して構わない。最後のAdditional Infoも「何か補足があったらどうぞ」程度のものなので空欄でよい。漏れがないか見直したらいざ送信。

 なお当然のことだが、リクエストは収集・実装を必ず保証するものではないことは肝に銘じておきたい。
 例えば先述のように、作者にやめろと言われたら仕方がない。なかなか自分がリクエストしたゲームの番が来ないからといって、苦情を送り付けたりするのももってのほかである。
 何せ「Stats」リスト上の数値によると、現時点でリクエスト総数は25481件、うちFlashpointで動作可能になっているのはわずか9%足らず。実装はまだだが収集済みなのは約36%で、収集すら未着手なのは約55%の13908件だそうだ。道のりは長い。

 あと、そもそもリクエストを受け付けていないゲームもある。ここの一覧を参照。
 例えば有料コンテンツとか、企業のコマーシャル動画などは却下である。また語尾に(At their request)とあるのは、作者からの申し立てで収録しないことになっているゲーム群。あと書かれてはいないが、すでにネット上から削除されているゲームももちろん不可能だろう。

コンフィグ

 画面上のメニューからConfigを選ぶと、色々いじることができる。

 一番上のExtream Gamesは、リクエストの項で触れたNSFWなゲームを表示するか否かを決めるものだ。そういうのをつかまされたくない人は、チェックボックスを空欄のままにしておけば非表示にできる。

 次のEnable Editingにチェックを入れると、Games画面で左端の一番上に「*Favorites* by you!」という項目を利用できるようになる。
 これはいわゆるお気に入り機能で、検索などで中央に表示されたゲーム名をここにドラッグ&ドロップし、自分用のプレイリストを作ることができる。リストから項目を削除したい時はそのゲームを1回クリックし(右にゲームの詳細が出る状態)、右上のバツ印をダブルクリックすればよい。
 なおこのマイリストが出ている間に検索すると、マイリストの中だけを対象に検索することになるので注意。その上のAll Gamesをクリックし、全表示状態に戻さないと他のゲームを検索できない。
 ちなみにマイリストの下にたくさん並んでいるのは、Flashpoint側が用意したおすすめゲームのリスト群。ジャンルごとの傑作選や製作スタッフのお気に入り集などがあるのでのぞいてみるとよい。

 だいぶ下の方にあるThemeのドロップダウンリストには、いくつかのレイアウト(見た目)が用意されている。黒一色だと目が疲れるという人は他のレイアウトに変えてみるとよいだろう。
 他にも色々機能はあるようだが、よく分からずにお触りすると後が怖いかも知れないので自己責任で。


補足:もうひとつの手段

 と、つらつら書いてきたが、「どう言い繕っても非合法は非合法なんだしヤダ」という人も少なからずいるはずである。当然のことだ。
 実は他にも道がないことはない。Flash Playerの代替品として機能するRuffleというのが現在開発中らしい。こちらは100%合法で、法的にも安心して扱えるのが大きな売りである。

 ……しかし、開発中とはイコール未完成である。一部のフラッシュゲームは動かせるようだが、まだまだ適用範囲が全然狭過ぎるというのだ(先の「効果的に動けている~」にRuffleを含んでいないのはそういう事情)。
 そうこうするうちに世を儚んだ作者たちがサーバーからフラゲを削除し、ネット上から絶滅してしまわない保証もない(現に店じまいをしてしまったゲームサイトも散見される)。そうなった後でRuffleが完成しても宝の持ち腐れとなってしまう。そもそもRuffle自体が現状ではだいぶ無名で、そういう手段があることを知らない人の方が圧倒的に多いと思われる。
 なので、まだ希望はあるから、2021年になってもフラゲを削除しないようにと作者各位に呼びかける運動も行われているらしい。ともあれ完成しないことには話にならないので、開発者の方々には頑張ってもらいたいものである。


参考文献

電ファミニコゲーマー
2020/2/3『Flashのサポート終了まであと1年、フラッシュゲームの収集と保存を目指す「Flashpoint」の最新バージョンが公開。登録作品は3万8000本、総容量は288GBへと急増』
https://news.denfaminicogamer.jp/news/200203l

多趣味のつらつらブログ
2020/1/7『Flash終焉後もゲームを遊べる「Flashpoint」のダウンロード方法と使い方 』
https://turaturablog.blogspot.com/2020/01/Flash-Point.Download.html

東京工業大学デジタル創作同好会traP
2020/9/27『【Flash作者様へ】Flashの希望と未来【Ruffle】』
https://trap.jp/post/1124/

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