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嘆きの門「バブエルマンデブ海峡」

フーシ派、イスラエル攻撃の強化を宣言。

フーシ派がイスラエルの船への攻撃をこれから強化していくという。そういった宣言をフーシ派指導者のアブドラマリクフーシがしました。ただ、フーシ派は、これまでも何度か弾道ミサイルをイスラエルに撃ち込んでいます。で、それに対してイスラエルは迎撃ミサイルで迎え撃ってきました。それが今度は、イスラエル本土を狙うのではなくて紅海を航行する船を狙っていくとのことです。そして、それを強化していくということなんですけれども、そうなると、これはもうイスラエルとイエメンに関することだけではなくて、結局、世界中のコンテナ船、オイルタンカー、そういった船の航行に対しても非常に影響を及ぼすのではないかと思います。場合によってはオイルショックというような事態に発展していくのかもしれないです。歴史を見ると実際に過去に起きてるんです。まずはこちらのニュースです。

11月15日、ロイターのニュースです。


「フーシ派、イスラエル攻撃強化を表明、紅海の船舶標的」
イエメンの親イラン武装組織フーシ派を率いる「アブドルマリクフーシ」は14日、イスラエルに対する一段の攻撃を行うと表明。紅海とバブエルマンデブ海峡でイスラエルの船舶を標的にすると述べている。
フーシ氏は演説で、我々は紅海、特にバブエルマンデブ海峡とイエメンに近い海域を航行するイスラエルの船舶を常に監視していると述べている。イランの支援を受けるフーシ派は今月に入ってから、イスラエルに対するミサイルやドローン、それらによる攻撃を複数回実施していて、イスラエルとイスラム組織ハマスの武力衝突が中東の広い地域に拡大するリスクが懸念されている・・・以上ロイターの記事。

ここで出てくるバブエルマンデブ海峡、そしてアブドルマリクフーシ率いるフーシ派ですが、ちょっと、この2つに関しては、なかなか聞き慣れない言葉ですので、ちょっとみなさんに解説していきたいと思います。バブエルマンデブ海峡は、こちらです。

ホルムズ海峡と並んでチョークポイントと言われているところです。
この紅海とアデン湾を結ぶ、もの凄い狭い海域。ここは30キロ程度の幅になるわけですけれども、このバブエルマンデブ海峡を通るイスラエルの船を狙っていくということをフーシが宣言しているわけですね。

このバブエルマンデブというのは、アラビア語で「嘆きの門」という意味になります。何でそう呼ばれたのかというと、このバブエルマンデブ海峡はもの凄く、いきなり狭くなるんですよね。いきなり狭くなって、なおかつ季節風がここを通って風が凄く強いので、これまで何隻も船が遭難しているみたいです。それで何人もの人が命を落としたという事で「嘆きの門」=バブエルマンデブ海峡と言われているわけです。

第一次オイルショックへの引き金

このバブエルマンデブ海峡で思い出すのが第四時中東戦争です。第四次中東戦争の頃にエジプトがここに2隻の駆逐艦を派遣して、イスラエルに運ばれてくる石油を全てストップさせてしまいました。そのうえでOPECが石油価格を引き上げたのですが、それが引き金となって第一次オイルショックが起きてしまったのです。


第一次オイルショック

だからこのバブエルマンデブ海峡の封鎖というのは、オイルショックを引き起こす可能性があるし、実際、過去にもこういう事が起きているんですよね。なので、そういった面で、今回のフーシ派の宣言というのは、そういったエネルギー輸送に関して、世界に対してもの凄い大きな悪い影響を与えてしまうんではないかという懸念があります。そしてこの宣言をしたフーシ派の指導者、アブドルマリク・フーシという人物なんですけれども

アブドルマリク・フーシ

彼はイエメン内戦での革命指導者であり、2015年から2023年まで起きてきたイエメン内戦の1つの大きな勢力でした。

このイエメン内戦の構図なんですけれど、もともとイエメンの暫定政府はハーディーさん率いるハーディー暫定政権と南部アデン圏を中心とした南部暫定評議会のズバイディーさん、この2つの政権が対立していたんですが、これをサウジアラビアが仲介をしたことで和解し、暫定政府(リヤド協定)ということで1つの勢力になったわけですけれど、ここの勢力と対立していたのがアブドルマリク・フーシ率いるフーシ派、そしてもう1つ、このドサクサにまぎれて武装蜂起を起こしてきたのがAQAP(アルカイダ・アラビアン・ペニーシュラー)アルカイダのグループです。

このアルカイダとフーシ派と暫定政府、この3つが対立をしていたのがイエメン内戦です。そしてこの暫定政府を軍事支援していたのがサウジアラビアやUAEなどのアラブ諸国連合軍。そしてフーシ派を支援しているのがイラン。当時はイランとアラブ諸国は対立をしていたのですが、今年の3月にイランとサウジの国交正常化が行われて、この対立は解消されてイエメン内戦も解消しました。

このイエメンのフーシ派というのは、そもそもイスラエルを攻撃するイランの触手なわけです。イエメンのフーシ派、そしてイラクのマハディ軍、そしてシリアのアサド政権とか、レバノンのヒズボラとか、そしてシーア派ではないけれども、今回、戦っているパレスチナのハマス、これらを全部ひっくるめてイランが支援しているシーア派民兵組織「シーア派の三日月地帯」と呼ばれているイランの蛸の触手ですね。これらがイスラエルを取り囲んでイスラエルを包囲しているという、そういった構図になります。

シーア派の三日月地帯(ハマスを除く)

ハマスはシーア派ではないですけれども、一応、この括りに入ります。
イランが支援する民兵組織は、この3日月地帯に入るわけです。こういった体制の中で今回、アブドルマリクフーシがバブエルマンデブ海峡を通るイスラエルの船を常に監視をして攻撃を仕掛けていくというようなことを宣言したので、ここから想像されるのが「第四次中東戦争」、そして「第一次オイルショック」の再来です。ホルムズ海峡と同様にチョークポイントと呼ばれているバブエルマンデブ海峡がどうなるのか?今後の動向に注目です。

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