『クリスとみちる』 12話 :温もり
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「みちるくんは、つらい、ということに気づいているんですね」
僕の首が、うん、と言った。
なぜか泣きそうになるのを、ぐっとこらえた。
正座をしていたクリスは、少しこっちに寄り、
肩をぴたっとくっつけた。
「ちょっと背中に手をあててもいいですか」
そう聞かれてうん、とうなずいた。
別にそうしてほしいわけじゃなかったけど、断る理由もなかった。
クリスが僕の背中に手をあてた。ちょっと緊張した。
それは大きくてあたたかった。
僕たちはしばらくそのままだった。
誰も何も言わないまま、部屋がしん、としていた。
あったかい。
じっとしていると、じんわり背中に広がっていくのがわかった。
そのうち体全部があったかくなった。
ふと正座している自分の膝がみえた。
その上で、ぎゅう、と固く手を結んでいるのがわかった。
なんでこんなに力が入れてるんだろう?
・・・そんで、あったかい。
しばらくそうしていた。
最初は、気のせいだと思ったんだけど。
ものすごくゆっくりと、ぼやけて。
じんわりと自分の膝がみえなくなり、
ぽたりと何かが落ちたことに気づいた。