【赤の少女と白い虎】 12夜. 世界の理(ことわり)
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姫は、じっと祖母の顔を見つめていた。
ところどころ深く刻まれた皺。
細くつぶらな瞳。
繊細で長い指の、その先。
腰までのびた、純銀の髪。
「・・・おばあさまはとても、きれいだわ」
全部言い終わってから、
しまった! という顔で、姫は自分の口をふさいだ。
それを見て、谷守りの老婆は
くくく、とおかしそうに笑った。
「・・・よい。
風読み師は内なるものだ。
ここではおばあさまでよい」
姫はホッとした顔で、ふふふ、と笑った。
「おばあさま、龍のはなしって何ですか?」
「聞きたいかい」
「はい」
「そうか」
姫の祖母は、自分のグラスになみなみとぶどう酒を注いだ。
「では、最初から話そう。
お前には本当のことを。
これは、世界の理を学び始めたばかりの頃
わたしが犯した罪の話さ」
〜つづく。