【赤の少女と白い虎】 18夜. 禁術の発動
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翌日の新月の夜。
小さな袋に龍の儀式の材料を詰め込んだわたしは、
こっそりと部屋を抜け出した。
もう戻れないかもしれない。
そう思った。
真っ暗な新月の夜は、世界の輪郭がよく見えるだろう?
細い山道もくっきりと見えた。
そして、ほどよい木々に囲まれた、ある場所にたどり着いた。
全て計画通りさ。
そこで頭に焼き付けた龍の陣を
大地に小石をつかって、正確に刻んだ。
材料をひとつひとつ、決められた場所に置いた。
何度も何度も見直したよ。
全ては完璧だった。
赤龍と青龍が現れ、腹に収まり、新しい力を得る。
そのイメージを思い浮かべて、瞑想をした。
そうして手元のロウソクを吹き消し、
天に向かって、言の葉を放ち、
とても静かに、両の手で陣にふれた。
その瞬間、
わたしの体は、空高く宙を舞った。
正確には、何かに弾かれ、吹っ飛ばされたんだ。
頭から落ちたことだけ覚えている。
気がつくと、真っ白な空間に一人で倒れていた。
〜つづく。
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