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557日だけの相棒

今回、ちょっと感傷的な気分で
物語を書きたくなりました。
興味のある方は、
お付き合いください。

2023年1月、君と出会った。
君と出会うまで、私は窮地に
立たされていたんだよ。

そんなことは知らないよね?
でも、その出来事がなかったら、
私は君に出会うことはなかったし、
今の私に出会うこともなかったと
思う…

君と出会うためにあの出来事があり、
そのおかげで、
私は人に助けを求めることが
できるようになった。
そしていろんな人たちの優しさが
繋がって、君にたどり着いた。
私を成長させてくれた君。

それまで私は口先でしか
人を信じることができなかった。
いつも心のどこかで、
「どうせ、誰も助けてなんて
くれないのだから、自分でなんとか
しないといけない」
と思っていた。
優しい人達の中で、
1人で勝手に殻に閉じこもり、
どうせ…って悲劇のヒロインごっこを
していたから、
そういう現実も引き寄せて
いたんだよね?

でも、殻を破って出てみると
私はこんなにも優しい人たちの中に
いたんだと気付かされた。

年末をバタバタと仕事を終え、
ようやく休みになって
一息ついたと思ったら、
私の不注意で起こした出来事の連絡に

お正月への、のんびりとした空気を
変えてしまった私に、
いろんな提案をしてくれたり…
調べてくれたり…

お正月の3が日なんて、
ゆっくり休みたいでしょ?
休み中だから対応できません。
休み明けにしてくださいと
言うことだってできただろうに…

「3日なら大丈夫ですよ。」って。
言ってくださった、友達の親友の
お知り合いの
車の整備工場の社長さん
今は亡き79歳の父が東京まで車を
走らせてくれた。

私は車には本当に無知で無頓着。、
走行距離も気にしたことがない、
エンジンオイルの交換時期や
タイヤの溝の深さや
タイヤのローテーションなんかも
全部父が声をかけてくれて
初めて意識が向く。

本当ならね、こんなに無頓着な私が
車に乗るのは車を凶器にするから
乗っちゃいけない気がしてた。
でも、父は一度も車は向いてないとは
言わずに、根気強く声をかけてくれた。

いくら仕事で必要だからと言って、
私が1人で中古車を買いに行くなんて
何を基準にしたらいいのかも
わからない。
父はエンジンの馬力を上げたり、
エンジンを載せ替えたりできてしまう
ほど、車には詳しい。

父に頼ったのはこれが最後
だったと思う。

君に試乗させてもらい、なかなかの
乗り心地。
シートヒーターが付いているため、
ギックリ腰をなん度もやった私の体にも
優しい。

父の見立てもOKがでて、購入。
ナンバープレートはなんでもいいですか?と聞かれ、
はじめはなんでもいいと思っていた。
でも、数字って大事だよって
どこからか声が聞こえ、
希望の番号にすることにした。

そうするとね、納車までに少し時間が
かかってしまう。
いたし方ない。
その間は自分でレンタカーを借りて
出勤も覚悟していた。

年明け、レンタカーで出勤して、
年末年始の状況を社長に話すと、
「車は準備するので、明日からは
レンタカー借りなくていいですよ。」
と。
ありがたかった。
1日レンタカー借りると
7000~8000円かかる。

結局、相棒になった君が私の手元に
届くまで、
2週間もかかったんだよね。
その間もずっと、人の優しさに
触れていられた。

君が私の相棒になり、1年が過ぎた頃、
君、少し調子が悪くなっていたね。
停車時にエンジンをかけていると
カチカチと音がするようになった。
きっとね、父が生きていたら、
相談したのだと思う。

でも、私はその音がどんなサインなのかも
考えず、君に無理をさせて
しまったんだろうな…
そのうちヒートランプが着くように
なった。
走ると消えるから、まだ大丈夫と
思ってしまった私。
君に全然優しくしてあげられなかったね。

春になってものすごく暑くなった日
君はボンネットから煙をふいた。
あの時「もう限界だよ」って
言っていたのにね。
少し停車して冷ませば大丈夫かな?って。

でもさすがにびっくりして、
車に詳しい兄に相談した。
翌日の朝、仕事前に見てくれた。
冷却水が減っているから、
とりあえず足してみるか…って。
一時的には良くなったと思ったけど、

また、ランプがつくし、
停車時のカチカチとした音も
消えていない。
1回ディーラーに持って行って、
見てもらって、見積もりを出して
もらった方がいいと兄に
アドバイスをもらい。

ディーラーへ持っていくも、
見積もりは25万もかかる。
兄に再度相談すると、
とりあえずは冷却水の漏れが1番かと
部品を取り寄せて直してもらう。

ランプはつかなくなった。
カチカチという音も改善した。

でもさ、エアコンが効かなくなった。
「夏のりきれるかな?
エアコン無しで。」

「エアコンを直すとなると、
恐らく結構かかる。
それなら、乗り換えた方がいい。
でも、仕事辞める予定だしな。
仕事辞めたら、無理して車に
乗る必要もないな。」

なんて考えが頭をよぎる。
そんなこと考えていた時だよね。
けっこう土砂降りの雨だけど、
クルマがほとんど停まっていなかった
ショッピンセンターの駐車場で、
標識のポールに吸い寄せられるように
ぶつかった。

君のボディのど真ん中、真正面。
私は我に返り、
どうしたらいいのか、
頭は真っ白。
ただ目の前にポールがある。
私の体はなんともない。

保険会社の連絡先がスマホの
どこにあるのかわからない。
探しているうちにふと、
会社に連絡入れなきゃと思い、
社長に先ず連絡。
警察、保険会社に連絡するよう
指示される。

警察に連絡。
そのあとで、次に訪問しなければならない
利用者さんへ連絡をする。
駐車場にはショッピングセンターの
警備の方々が雨の中駆けつける。

そして、家族に。
そして改めて保険会社の連絡先を探すが
見当たらない。

警察も来て聴取。
保険会社の連絡先探せない。
焦る…

君はもう、エンジンをかけることは
出来なかった。
レッカーのお願いもしないとならないのに
保険会社の連絡先が見当たらない。

1年前に保険会社を変えたから、
どっちの保険会社だったか?
わからなくなっていた。

ようやく連絡する先を見つけ、
少しほっとしたものの、
社長は車の手配をし、仕事は続行。
私はこんな時はもう、車を運転するのは
嫌だったけど…

仕事に戻る。

君はレッカーで保管場所まで運ばれた。
仕事が終わってから、
その保管場所まで荷物を取りに
弟に連れて行って貰ったけど、
荷物、いっぱい積んでたね。ごめん。

そのまま廃車手続きしようとしていたら、
保険会社から
「査定をするので、
一旦、自宅とかにほかんできないか?」
と。自宅には停めて置くスペースがなく、
兄の会社に停めさせてもらうことに。

なんだかね、兄の会社はもともと
父の会社だったから、
まさかここに君をつれて来るとは
思っていなかったけど、
査定も終わり、廃車のための業者が
君をつれて行く時、
なんで父の会社に一旦来たのか
わかったよ。

君が私のところに来た理由。
そしてここから去る理由。
君はみんなの優しさの中に
私がいることを教えてくれた。
そして、君は私の身体に
傷をつけることなく、
私を守ってくれた。

それはきっと、父が守ってくれたって
ことを私に気づかせるために
一旦父の会社に保管することに
なったんだね。

君に出会う前、
君と出会うきっかけになった出来事は
今回君が私を守ってくれたように、
同じようなことがあったんだ。
その時は、ガードレールにぶつかって
動くけど、左にハンドルが
切れなくなった車。
仕事中だった父が仕事を早く切り上げて
見に来てくれた。

きっと、その時に私が
父の愛の深さや、周りの人が私を
大切に思ってくれていることに
きちんと気づいて、感謝していたら
君は私の元から居なくならなかったの
かもしれないね。
後悔の気持ちが湧いたと同時に、
君と過ごした日々はどれくらいの
長さだったのか?と降ってきた。

丁度1年と6ヶ月と思っていたけど、
何日に変換してみた。

それで、557日だけの相棒。
557の数字に秘められた意味は、
変化の道。成功の前兆。
私が選ぶ変化の道を選んだこと、
歩んで来た道は、正しかったと
最後に君はメッセージをくれた。

だから、そのまま行きたい方向へ
進んで大丈夫だよと背中を押された
気持ちに切り替えられた。

何から何まで、私は守られていると
感じた相棒だった。
大切なことを教えてくれて
ありがとう!







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