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子どもの成長とは逆行する社会的背景

良いとか悪いとか、ダメだとか、そんな話をしたいわけではありません。
ただ、矛盾を知ることで、保育者として出来ることが増える話をしたいのです。


『矛盾を知る』

私が新任だった20年前、私は子どもにお便りを配るとき、こんな話をしました。

『いまから配るお手紙はね、今度の遠足の話が載ってるの。ここにはね、持ってくるものも書いておきました。もし、渡すの忘れちゃったら、どうなると思う?』と聞くと、

『持ち物持ってこれなくなる~!』と、子どもたち。

『そうなの。お弁当持ってこれなかったら、困っちゃうよね?だから、絶対に渡してください。大事だから、失くさないように、すぐにしまってね。』伝えると、

年少ながらも、真剣に話を聞き、しっかりと鞄にしまう子どもたち。

そして、お迎えに保護者がくると、まさかのその場であわてて手紙を出して渡す子も(笑)

3歳児なりに、自分の事として捉え責任感を持って手紙を渡してくれていました。


ところが、いまは多くの園で、学校で。お便りはペーパーレスとなり、当事者の子どもを通り抜け、メール配信で保護者へ直接届きます。
子どもは、何も知らないまま、持ち物が完璧な状態で準備されていることが多くあるのです。

お便りに交じるイベントチラシもまた、そこに載った、大好きなキャラクターを見つけ、子どもたちは、『今日このチラシもらった。ここ行きたい!』と自分の意思を訴えることが出来ましたが、

いまは、それもほぼ保護者へ直通の為、保護者のフィルターを通り、保護者からどう?と提案されたものしか、子どもには届かなくなりました。子どもが自分で見つけることは、困難になったのです。


子どもがある程度成長し、親が仕事に集中出来る年齢になっても、保護者送迎が義務付けられた地域移行した部活動に、夜中まである塾。親が時間管理せねば成り立たなかったり、口出ししなければ、回らない状況に陥りやすくなった現代社会。
世の中が、合理性を求めれば求めるほど、子どもは自分のことを自分事として考えることを学ぶ機会は、
回りにいる大人がとても意識しないと、身に付かない状況になっていると思うのです。

例えを上げだしたら、キリがありません。
いいとか、悪いとか言いたいのではありません。
そのたくさんの矛盾に、1つでも多く気づくことが出来れば、子どもに関わる大人として出来ることや、かける言葉が増えるのです。

例えば、遠足の案内をメールで流すとき、
『子どもたちには、遠足の持ち物を今日伝え、お家の人に今日伝えてね。と話をしました。子どもたちは、持ち物を一生懸命覚えていました。さりげなく、そろそろ遠足だね~持ち物なんだろう?と聞いてみてくださいね。』と一言添えてみれば、一緒に子どもの育ちを応援出来るのです。

子どもたちに、『今日お家の人に、お楽しみ会の案内をメールするから、来れるかどうか、お返事してね。って伝えてね。』と伝えれば、子どもは子どもなりに使命を果たそうとしてくれます。

朝、保護者と共に登園してきた子どもたちに、まずは子どもの顔を見ながら『おはようございます』と声をかけ、その後で、『おはようございます』と保護者に声をかれば、誰の為の施設なのか、無意識に伝わるのです。

いまある状況のなかで、いま自分に出来ることを、自分に出来る範囲で。自分の持ち場の中で、楽しみましょう♬


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