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ブカレストの講習会/コンクール、マニュアル車の運転


今年の夏は日本へは帰国せず、2ヶ月たっぷりヨーロッパで休暇を満喫しました。

指揮科修士卒業後、1年弱必死にこなしてきた教師職から開放されて自身の学びたい欲が高まり、7月は10日間、ルーマニアブカレストの“Tchaikovsky Challenge”というJohn Axelrod師のマスタークラス&コンクールに挑戦してきました。毎日Bucharest Symphony Orchestraというプロのオーケストラを振らせてもらい、異なる所で勉強してきた人の指揮を見て、沢山の学びがありました。よく言われることではありますが、やはり振ってみて、プロオケと学生オケとは求められるものが違うと思いました。また、勉強してから臨めたこともレパートリーの定着には役立ちました。実はこの他にも受けようとしていたコンクールはあったので、6月後半から7月にかけては朝から晩までピアノや楽譜やオペラのテキストに向かい、充実した日々を送ることができました。

このマスタークラス&コンクールで課題となっていた曲は、幻想序曲『ロミオとジュリエット』、弦楽セレナーデ、エフゲニー・オネーギンのポロネーズ、ピアノ協奏曲第1番、そして第6番交響曲『悲愴』でした。『ロミオとジュリエット』は昨年の卒業試験で触れなかったところを試しました。ポロネーズは短くて楽しい曲で、密かにお気に入りになりました笑。『悲愴』は改めてちゃんと楽譜に向かうと、曲があまりにも壮大さで、お腹いっぱいの気分になりました。弦セレ(くじで一次予選に当たった)は昔第2バイオリンを弾いたことはありますが、実際に振ると弦とのコンタクトが難しく、「弦を振れるかどうか」を問われるなぁと思い、コンクールでよく課題曲になるのも納得しました。これまで様々なところで「楽譜に目を落としすぎ」と言われてきたので今回は暗譜を心がけましたが、「そこが問題ではない」と言われ、奏者とのコンタクト(特に弦)と左手の使い方、テンポの変わり目(終わりの音の処理と出だし)など、色々な課題を発見しました。私は一次には進めなかったのでピアノ協奏曲は振っていませんが、ちゃんと勉強したので鬼門ポイントが頭に入り、セミファイナリストの指揮から色々と学びを得ることができました。優勝したのは、コンクールから参加のスペインの女性指揮者Noemì Pasquina。表現豊かで魅力的な指揮をする人で、これからが楽しみだと思いました。

ところで、最近イタリアでマニュアル車の運転を始めたのですが(日本ではオートマ限定)、ロータリーで左足・ハンドル操作・右手のギアチェンジを同時にするのが大変なのと、停止・発進時にいちいち緊張します。そんな時、右手と左手で違うことをすること、終わりの音の処理と出だしに苦戦していた私は、指揮と同じだ…と感じます。今は左半身のコントロールが課題です。