捕まえた
『夜空に金平糖を撒いておいたから、2人で食べない?』
そんなゲロが出そうなくらい甘い言葉の小説の、ページの右上をこっそり折っていた17歳のわたしを20歳の私が捕まえた。
3年前と同じページに指が届いて、でもセリフは心の違う部分に響いて、にやり、苦笑いが溢れる。
しかし。すっかりニヒルぶった私に、17のわたしは化粧もしない顔でしれっとこう言う。
「20の夏に、無料のチケット2枚あるから、なんてベタなセリフでピューロランドに誘われてときめいちゃった君も君だよ」
首根っこがひやっとして、後ろを見る。23歳のわたしに捕まるまで、あと少し。
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