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皮膚科でほくろを取って人生が変わった話

私は元々ほくろができやすい体質のようで、物心ついた頃には顔に大きなほくろが三つ(小さいほくろはもっとたくさん)あった。
小学生の時にはクラスの男子に顔のほくろを数えられてものすごく嫌だったし、皆で合唱しているときに急にほくろのことを意識してしまって顔から火が出るほど恥ずかしくなったこともある。
母にほくろが嫌だと言っても、「ほくろがチャームポイントだっていう女優さんだっているのよ」と、何の慰めにもならなかった。
ほくろがあることで、私は自分の顔にものすごくコンプレックスを持っていたし、せめてほくろがなければ人並みの顔にはなれるんじゃないか、なんて考えていた。自分が写っている写真を見るとまずほくろが目に入るので、写真もあまり好きではなかった。

でも大人になってからしばらくしても、ほくろを取るという選択肢は浮かばなかった。
ほくろを取るのは保険適用外の美容医療に当たると思っていたし、美容医療なんて整形とか高額化粧品とかと同じで、私には縁のないものと思っていたのだ。
でも30代のある日、近所の皮膚科で!保険適用で!ほんの30分ほどで!ずっと気になっていた顔のほくろを取ることができて、私の人生はそれまでのストレスの一つから解放された。
その経緯がもしかしたら誰かの役に立つかも、役に立たなくてもへ~と読んでいただけるかもと思い、書いてみることにする。

きっかけは顔のほくろではなく、背中にできたほくろだった。
背中の真ん中に大きく盛り上がったほくろができ、盛り上がっているので着替えの時などに服に引っかかると引っ張られて痛く、地味に不便だった。
これはもしかして保険診療で取ってもらえるのでは?と思い近所の皮膚科を検索すると、ホームページの情報から、皮膚科診療はもちろんやっているけれど美容医療も強そう(脱毛やレーザーなどもできる)というクリニックがあった。グーグルマップの口コミを見ても、混みそうではあるけれど悪くない。よし、ここにしよう。
クリニックを受診してまず背中のほくろを見てもらうとあっさりと、保険適用で取れますよ、取った組織は念のため病理検査に出しましょう、手術はこの曜日が可能です、とのこと。
私は、長年気になっていた顔のほくろについても聞いてみることにした。美容医療は相場がわからないし、なんだか怖くて踏み出せないけど、保険適用の医療なら安心ではないか。
あの、顔のほくろも保険適用で取れますか…?
するとこちらもあっさりと、「取れますよ」とのこと。そ、そうなんだ…!
ほくろの除去にも保険が効くものと効かないものがあり、その時の私の理解としては、盛り上がっているほくろであれば保険が効く、というようなことだったと思う。
そんなわけで、背中のほくろは麻酔を打ってメスで切除、顔のほくろはレーザーで切除することにして手術日が決まり、私は長年の悩みから解放されることになって、なんだか拍子抜けした思いで病院を後にしたのだった。
ちなみに手術の後は2週間ほどガーゼで覆う必要があるため、人と会ったり大事な予定の前は手術は避けた方が良いようだ。私はこの時たまたま育休中、しかもコロナ禍のことで、出勤の予定も人と会う予定もなかったのでタイミングがよかった。手術後数か月はヒルドイドを塗り、日焼けも防ぐ必要がある。
手術については、背中も顔も局所麻酔を打ち、顔についてはゴーグルのようなものをしてレーザーを当てていく。焦げ臭い匂いがするけれどもちろん痛みはなく、手術自体は1か所あたり5分か10分くらいのものだったと思う。
費用としては術前や術後の診察を含め、計4か所取って1万円台~2万円しないくらいだったように思う(何度か受診したのであいまいですが、手術の時に1万円前後払い、その他は数百円~千円台、トータルで何万円もかかるレベルではなかったと思う)。

実は、ずっと当たり前に存在していたほくろを取ることで後悔しないだろうか…という気持ちもあって、最初の手術では顔のほくろは二つだけ取り、一つは残しておいた。
ところが二つほくろを取ってみると、鏡を見るたびに気になっていたほくろがない、ということが快適すぎて、すぐに三つ目のほくろも取ることにした。
ちなみに背中のほくろと顔のほくろ三つ、それぞれ病理検査に出してくれ、結果は良性だった。

ほくろを取って3年ほど経つけれど、今ではもっと早くとればよかったと思っているほどだ。
取った箇所は、よく見ると他の部分に比べて少し皮膚の質感が違うというか、他よりも白っぽい感じがする。ただメイクをして普通の距離で人と接する分には違和感を持たれることはほぼないと思う。
周りの反応としては、ほくろを取ったことを指摘する人は皆無だった。
これはネットで複数の人の体験談として読んだことだけど、本人はほくろを気にしているけれど、実際にほくろを取ってみると、ほくろがなくなったことに気が付く人はほとんどいないようなのだ。
私もほくろを取った後で、久しぶりに会った姉に「ほくろ取ったよ」といったところ、「えっそうなんだ~」という感じだった。
自分はあれほど気にしていたのに、他人にとってはほくろがあろうとなかろうと変わらないんだな…と思うと不思議な気がする。
けれど、鏡を見るたびに少し気分が下がり、ずーっとコンプレックスの一因となっていたほくろに悩まされなくなったということは、その後の私の人生を大きく変えた。

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