異素材を組み合わせた作品について【パラフィンワックスとジェルワックス】
私が学び始めた○十年前と比べて、キャンドル作りの材料は種類も増え、品質も向上したと感じます。
思えば、私が始めた頃に一般でも手に入ったキャンドル用ワックスの種類は
パラフィンワックスの135F°と、マイクロワックスのハード、動物性ステアリン酸、パルバックス、そして蜜蝋、くらいでしょうか…。
様々なワックスが手に入るようになり、それらをブレンドすることで、融点を変えたり、いろいろなデザインのキャンドルを作ることができるようになりましたね!
デザインを形にする上で、異素材同士を組み合わせてみることもあるかもしれません。
今回は、ジェルワックスと、パラフィンがメインのブレンドワックスとの組み合わせの難しさ・変化について私の作品で見ていこうと思います。
ジェルワックスは、以前はかなり柔らかいタイプしかなく、オイルのような液体が染みだして、容器に流し込むキャンドル位しか作れませんでした。
今では固さも様々で、自立するキャンドルも作れますし、安定した美しい透明度のものが多いですね。
デザインを考える中で、キャンドルの一部分だけが透けていたら、不思議な美しさだろうな…と思うことが一度はあるのではないでしょうか?
そういう時に、ジェルワックスを使って試してみたくなりますよね!
上の写真は、私の『pane』という作品です。
コンテストに出品するためにデザインしたもので、手のひらに乗る位のサイズです。
『pane』は、「窓ガラス」の意味がある言葉で、透明なジェルワックスを透かして、キャンドルの中に入れたカラーキューブが見えるデザインです。どちらの面から見るかによって、見えるカラーキューブの色が違うので、鏡を使って撮影しました。
火を灯している最中は、ジェルワックス部分が、他の部分より明るく光を通します。
ジェル部分から、うまく上を覗くと、炎を下から見ることもできたりします。
この作品も、下のもう1つの作品もですが、
基本的に、ジェルワックスとパラフィンワックスは、普通に貼りつけようと思ってもくっつきません。分離しないようにするためには工夫が必要ですが、その事についてはここには書きません。
さて、一見きれいに出来ていますし、灯しても美しいこれらの作品ですが、
気を付けなければならないことがあります。
上の写真は、同じ作品を撮ったものです。
右側は、ジェル部分が濁っていますね。
思い出していただきたいのは、ジェルワックス購入時の説明書などに記載がある「他のワックスと混ざると濁ります」という注意です。
上の作品は、火を灯してパラフィンの部分とジェルの部分が一緒に溶けて混ざり合い、火を消して再度固まり、それを繰り返す中で濁っていきました。
火を灯していると、芯の周りにロウ溜まりができます。そこでパラフィンの部分とジェルの部分が混ざったわけですが、注意しなければいけないのは、混ざったところだけが濁るのではなく、結局 濁りはジェルワックス部分全体に広がり、右の写真のようになるということです。
では、火を灯さなければ変化は無いのでしょうか?
答えは…「濁ります」。
灯さないで保管してあっても、1年を過ぎたあたりから濁りはじめますので、ご注意ください(KEI調べ)。
とはいえ、こちらの写真の作品のように、上から下までが透けて見え、底からもあかりが漏れて美しいデザイン等は、ガラスと組み合わせたりしてもキレイで、魅力がありますよね。
自分のイベントなどで灯して見てもらうのには問題ないと思いますし、
濁る前に灯し終わる位のサイズにするとか、
ジェルの部分だけが溶けて燃焼するような直径にして早めに使い切るとか、透明感をなるべく生かせるように工夫すれば、こういったデザインも有りとは思います。
ジェルワックスは、濁っても、灯して使うことはできます。ミルクガラスのような?半透明になる感じですので、それはそれでキレイです。
*3月12日追記:
濁った後でも、火を灯してしばらく経つと、炎に近い部分の濁ったジェルワックスが透明になってきます。炎の熱が伝わるためでしょうか。火を消して、冷めるとまた濁ります。
もしも販売やプレゼントする際には、きちんと説明書に記載するなど、お伝えすることが大切だと思います。
( 2023年3月6日 )
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