ここじゃないどこかで
捨てられないものがある。
買い取ってもらえなかったゲームソフト。
物語を紡いだキャラクターたちが載った、ゲーム攻略本。
少しずつ整理してきたけれども、未だ手元に置いているものがある。
わりとなんでも捨てるほうなのに手放せない、それだけ、思い出深くもあり、ある時期の自分自身のコアなのではないかと思う。
家庭用ゲームとの付き合いは、それなりに、短くはない。
周りよりデビューが遅かったため、夢中になったのはスーパーファミコンの終わり頃からプレイステーション初代、2の頃。
ここじゃないどこかで。
ファンタジー……RPGにハマることが多かった。
自室もないのに、いつゲームをしていたのかよくわからないけれども、その異世界感に浸るのが心地よかった記憶がある。
グラフィックがめきめきとリアリティを増していったプレイステーション時代。
テクノロジーの進化と美しさに新鮮な感動をおぼえたのは、有名タイトル、ファイナルファンタジーⅦだろう。
夜の工場地帯を彷彿させる、機械、動力、金属製の構造物、エネルギーの燐光、都市の澱み。
見上げても空のない、人工物ばかりの街、スラム街。
どこまでが歩ける場所なのか、一見してわからなくなったグラフィックは、物語に奥行きを与えたと思う。
どこまでも、世界はひと続きだった。
はじまりの都市を抜けると、草原が、彼方へと広がっていた。
……
……たぶん。
間違ってても許してほしい。なにせ20年以上前の記憶。
※ゴンドラでデートするイベントはエアリスを希望していた
もう1タイトル。
受験勉強を強烈に支えたRPGがあった。
ゲームしながら受験に備えていたのではなく、オープニングムービーを見て期待に胸を膨らませつつ耐える、という心の支え。
ワイルドアームズ。
荒野と口笛のRPG。
西部劇舞台のテイスト、古代遺跡・遺物。
心惹かれたわけは、乾いた風の吹きすさぶ荒れた大地を、孤独を抱えて生きるキャラクターたちの物語だったから、かもしれない。
剣と魔法に留まらないところと、楽曲も好みだった。
他にもたくさんの作品にハマってきた。
ラスボスを倒す頃には、終わってしまうことが寂しくなるくらいに。
そんなたくさんの世界を歩かせてくれたプレイステーションは、間違いなく歴史の一つだ。