ブラックファントムテトラが自然繁殖した話
立ち上げから二年たとうとしている60㎝の水草水槽。
数日前、ブラックファントムのかわいらしい稚魚が誕生しておりとても驚き、感動しました。これはただの自然繁殖の記録です。最後まで読んでもおそらく、ブラックファントムテトラを繁殖できるようにはなりません。
◆ブラックファントムテトラの特徴
ブラジル原産の小型カラシン科の熱帯魚で飼育はいたって簡単。初心者でもトラブルなく飼育できます。
実際立ち上げて一番に導入したブラックファントムが、二年近く経過する今でも元気よく泳いでます。病気や飛び出しなどの事故も今のところ一度もおきていません。
見た目の特徴ですが、オスとメスの見た目、特に発色が大きく異なります。色が良く揚がるとその違いは著しくあらわれます。オスは熱帯魚でも少し珍しい黒色をしており、状態が良いととても黒くなります。そして真っ黒なボディに美しく映えるメタリックブルーのスポット。これがたまらなく奇麗なんです。
一方でメスのブラックファントムは色が揚がると黒色よりは赤みが増してきます。オスと見比べても同じ種類とわからないぐらい違いがあります。
写真で見比べてみても違いがよくわかります。
オスのブラックファントムは大きな背びれをパッと開き、フィンスプレッディングを見せてくれるのも特徴です。縄張り意識が強いのでオス同士で威嚇しあっているのを頻繁に観察できます。
黒くてなんだか地味・・・なんて思っていましたが背景のほとんどが緑色の水草水槽ではとてもよく映えてくれます。
◆ブラックファントムテトラの繁殖方法
繁殖が難しいといわれる小型カラシン科ですが、その中ではブラックファントムテトラの繁殖は比較的簡単です。環境が良ければ産卵自体は珍しくないでしょう。
しかし産卵はばらまき型で、低床に卵をばらまきます。産みっぱなしです。ですので他の生体の食害にあいやすく、なかなか稚魚にまで成長することが難しいのです。運よく稚魚になったとしても小さすぎるため、一般的な稚魚の餌として与えるブラインシュリンプですらうまく食べられません。
以上のことを踏まえると、繁殖させるにはサテライトなどに抱卵したカップルを隔離し産卵後はインフゾリアなどのブラインシュリンプよりさらに小さな餌を与える必要があります。
◆自然繁殖させた方法
自然繁殖した方法、というのもおかしいですが自然繁殖した環境は以下の通りです。
1)混泳している生体
• カージナルテトラ
• ラスボラエスペイ
• レッドファントムルブラ
• オランダラミレジィ
• ネオンドワーフレインボー
• ヤマトヌマエビ
2)栽植している水草
• キューバパールグラス
• グリーンロタラ
• ロタラspハラ
• パールグラス
• オーストラリアンクローバー
• アヌビアスナナ・プチ
◆なぜ自然繁殖できたのか考察
まず一番は水草の量。とにかく後景の有茎草がものすごく茂っています。魚の泳げるスペースは前面の25%程で残りの大部分は水草が広く繁殖しています。これによりうまく隠れ家の役割を果たし、食害の被害にあわず天敵からも上手に隠れ、大きくなったと推察できます。
天敵、とざっくり書きましたが混泳している魚やエビからの被害です。特に現在ヤマトヌマエビの数が立ち上げ直後と比べると激減しておりほとんど見えなくなりました。コケ被害はひどいのですが、これも大きな要因になったのでは、と考えています。
しかし、謎が一つ。餌問題です。いったい何を食べて生き延び、ここまで大きくなったのか・・・とても不思議です。
ピントがあっていませんがやっと撮れた写真がこちら。姿はもう立派なブラックファントムです。普段は水草に隠れており、あまり姿を見せてくれませんがとても元気です。
この稚魚よりも二回りほど小さい稚魚も見つけており、その子はサテライトに隔離しブラインシュリンプをたくさん食べています。まだ他にも稚魚がいるかもしれません。
◆さいごに
熱帯魚の繁殖。簡単なことではないですが、成功すると感動的です。
自然繁殖は特に、魚にとって過ごしやすい最高の環境を与えられているということですし、アクアリストとしてとても誇らしい気持ちにもなります。こんな体験ができるのもアクアリウムの醍醐味ですね。
稚魚の様子はTwitterで随時更新予定です。
ここまで読んでいただきありがとうございました。