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EC黎明期の“掘れば金が出る”時代─いまとの違いを振り返る─
一昔前、“ネットで物を売る”という行為は、とにかくブルーオーシャンでした。
今では考えられないほど簡単にアクセスが伸び、売上も急増…。
そんな“宝の山”を経験した私が、いま感じる現代ECとのギャップを振り返ります。
インターネットが怪しがられた頃から大手企業が参入する現代へ
当時を経験されている方には、思わず微笑んで懐かしんでいただけると嬉しく思います。
私がECを始めた頃、周囲には「ネット通販って詐欺じゃないの?」「クレジットカード番号を入力するなんて恐ろしい」と言う人が大勢いました。回線も遅く、画像1枚を表示するのに数十秒~数分かかるのが当たり前でしたから、確かにその不安ももっともだと思います。
しかし、一部のネットリテラシーが高い人や、モール運営側のバックアップもあって、“少しの工夫”でアクセスも売上もぐんぐん伸びる状態でもあったんです。私はこれを“掘れば金が出る”時代と呼んでいます。
就寝時に布団に入ってもふと浮かんだキーワードがあれば飛び起きて商品名に追加したり、とにかく思い浮かんだ施策を次々とやっていました。EC黎明期ですから、思い浮かんだ施策を実行すればすぐ反応があり売上につながったんです。
また、楽天市場などのモールではメルマガ会員獲得キャンペーンなどが盛んで、大量にメールアドレスを集められ、そこに一斉配信するだけで売上がドーンと上がることもしばしば。今考えると、夢のような時代でした。
そんなブルーオーシャンから一転、現在はどうなった?
競合(ライバル)の急増
以前は同ジャンルの店が1~2店舗だったのが、今や数十~数百店舗がひしめき合う。広告費の高騰とSNS活用
PPC広告やリターゲティング広告など、専門知識なしでは成果を出しにくい状況。SNSを駆使しないと埋もれるという声も。大手企業の参入で独自性を問われる
在庫量やブランド力で劣る中小店舗は、ただ出店するだけでは埋もれてしまう。厳格な在庫管理と納期設定
特にモールだと店舗評価の一つとなっており検索表示順位に影響するなど、”ざっくりとした納期表示”では指示されなくなりより厳格な管理が必要となっています。決済方法の多様化
クレジットカード決済以外にQRコード決済、コンビニ支払い、Pay払いなど決済方法も多様化。顧客に求められる決済方法の選定も必要に。モール手数料の高騰
各モールもシステム利用料や様々な手数料がかかるように。物流費の高騰
ECにとって無視できない物流費も年々高騰している。
こうなると、「昔みたいにちょっと工夫しただけで売上が倍増」みたいなことはほぼ望めません。私もこの変化のなかで、何度も壁にぶつかりました。広告だけに頼ってみた時期もありましたが、コストの割にリピーターが増えず、長期的な売上にはあまりつながらないと感じたんです。
それでも昔と変わらない“本質”はある
お客様の不安をいかに取り除くか
リアルの店舗では店員さんと直接話せますが、ECは画面越し。だからこそ、問い合わせ対応やFAQの充実度、ページの分かりやすさが鍵。在庫と納期管理の重要性
「ここで買えばちゃんと届く」「遅れない」という当たり前の安心感がリピーターを呼ぶ。メルマガの使い方
かつては大量配信で成果が出ましたが、現在は“本当に読みたい人”への情報提供が大切に。結局、読み手を無視した押し売りでは開封してもらえない。
黎明期は誰もが手探りだったけれど、実は「お客様とのコミュニケーションをどう深めるか」という点は今も昔も変わらず大事だと思います。ツールやプラットフォームはどんどん進化していますが、人間の“安心したい気持ち”は変わらないんですよね。
これから具体的に書いていきたいこと
無在庫販売(ドロップシッピング)は苦難の道
楽して稼げると思ったら、納期や在庫の連携、問い合わせ対応に追われて崩壊…価格設定ミスで数百件の注文が入り炎上した話
CSVファイルの列ズレ1つでとんでもないリスクを抱えるECの恐怖土日出荷義務化!? モールのルールに振り回される現場の苦労
「スタッフの休日はどうなるの?」というシビアな話多モール展開の戦略と落とし穴、システム導入のリアル
一元管理システムの導入タイミングと失敗談
私自身、何度も痛い目を見ていますが、その度に「地道な顧客対応でしか生き残れない」という事実に気づかされてきました。
次回以降の記事では、こうした具体的な失敗談・成功談を共有していく予定です。
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