ヘリコプターの旋回音が始終鳴り響く平岸の街を歩いて(12月17日15時、爆発現場周辺写真レポート)
ヘリコプターが旋回する街
街にはヘリコプターの旋回音が始終、鳴り響いていた。街の名前は平岸。昨日、爆発事故があった街だ。
平岸駅は大通駅から五駅。札幌の中心部からは近く、飲み屋なども飲食店も多い。単身者にとって人気のエリアだ。
街を飛ぶヘリコプターは低い。高層マンションの屋上から、南京玉すだれをめいっぱい伸ばしたら、届きそうなぐらいの高さを飛んでいる。
大げさに言ってしまった。
とにかく、日常では考えられない高さにヘリコプターがいるということを言いたかった。
爆発事故が起きた12月16日20時半頃。僕は自室で作業をしていた。Twitterを眺めていると、同時に何人かが「すごい音がした」とツイートした。何かあると思った僕は、タイムラインに張り付く。平岸で爆発が起きたことがすぐわかった。
翌日、僕は平岸駅にいた。自分の目で見てみたいという気持ちを抑えられなかった。
爆発で思い出すのは2007年に起きた「渋谷温泉施設爆発事故」。当時、僕は渋谷で働いていた。
日中、突然大きくて鈍い低音がオフィスに響く。オフィスは一時騒然となるが、何が起きたかわからず、それぞれの仕事に戻る。
何が起きてるかわからないまま、Yahoo!トップページに張り付いていた。すぐに速報が流れる。渋谷から近い松濤の温泉で爆発していたことがわかった。
僕はオフィスの窓から温泉の方向を見る。目に付いたのは多くのヘリコプター。
現場に近い取引先の方に電話をする「そちらの状況はどうですか?」
どうですか?と言われても困っただろう。その方も僕と同じく広告の仕事をしているので、何も詳細はわからない。
「とにかくヘリコプターが多いですね…」
僕は気持ちが抑えられず、業務中ではあったが「早退して見に行きたい」と告げた。しかし、何人もに止められ、現場には行けなかった。
帰宅後、報道ステーションを観た。現場には事故後も有毒なガスが発生していたようだった。行かなくて良かったとその時は思った。
報道ステーションに取り上げられるような事件が近くで起きた。僕は日本の中心の東京にいる、という感覚を覚えた。
それから11年後、同じような爆発が自分の街、札幌で起きた。
事故現場を写真では確認できる。だが、この現場もいずれ片付けられる。自分の目で見て、感じたい。そんな無鉄砲な戦場ジャーナリストみたいなことを思ってしまった。
写真でレポートする爆発現場周辺
ここからは12月17日、15時ごろの爆発現場周辺の状況を写真で伝える。
平岸駅を出ると、すぐに事故現場がある。
規制線が張られ、すでに現場であるアパマンショップや、海さくらには近寄れない。
僕のようなカメラを持った一般人もいるが、人の多くはテレビの報道陣。
UHB、HTV…すべて見たわけではないが、おそらく北海道の全社がいるだろう。
中には東京の番組「ビビット」のマイクを持ったリポーターがいて、驚いた。全国区のニュースになっている。日本の関心が今ここにある。
規制線のエリア
規制線があるのは以下のエリア。距離にして約200メートル。
北側、西側、南側、東側。ルールの範囲で目一杯近づいてみた。まずは北側を写真を紹介する。
北側
ロアルホストになってしまっている。
経済産業省の方も来ていた。
西側
住宅街がある西側はさすがに人が少なかった。
住宅街を歩いていると、カメラとマイクを持った報道陣がいる。住人インタビューをしたいのだろう。僕はインタビューされまいと、そっと避ける。
南側
南側は少し人がいる。ここにいる方たちは地元民と思われる。セコマに行く人達もいる。
東側
東側は不思議なエリアだった。ここには地元民はほぼいなく、報道陣が多かった。
たくさんのタクシーが止まり、中継車もいた。
はっきりとした理由はわからないが、作業の様子が最もわかりやすいエリアだからかもしれない。
以上が2018年12月17日、15時ごろの平岸駅、爆発現場周辺の状況である。
最後に
明日はまた現場の状況が変わる。この光景はこの瞬間にしかない。数カ月後には何もなかったかのようになっているに違いない。数十年後には、ほとんどの人が忘れ去る光景だろう。もちろん、この現場を残しておいてほしいとは思わない。一刻も早く元通りになってほしい。
僕はただ、今の状況を見ておき、写真に残し、この一瞬を脳にハッキリと刻んでおきたかった。