一期一会を大切にできなかった人間
初売りでアリオ札幌に行ってきた。1月1日のこと。
普段、初売りなんて行かない。人が多いのが苦手だからだ。
でも、昨年は"何かしらの祭りを感じるイベント"に参加してきて(セブンイレブンのオープンセール並んだり)、楽しんだ記憶を忘れられず、今回も何かしら楽しめるかと思い、行った。
アリオの千本引き
目的はアリオの千本引き。
くじを引くのは10000円。運が良ければ、40型テレビ、電動自転車、ヘルシオなどが当たる。末等の外れでも10000円がnanacoにチャージされる。
つまり、リスクなしに豪華商品が当たる可能性がある。(こういう話が好き)
写真には収まっていないが、2等は5本ある。特等〜2等を合わせて8本。8/1000=1/125でお得に。チャレンジしてみたい欲がフツフツと湧き上がる。
1月1日9時にアリオ札幌に行く
テレビっ子の僕にとって、1月1日は爆笑ヒットパレードを見る時間と決まっている。だが、アリオで千本引きにチャレンジすることを大晦日に決断してしまったので、朝7時に起きる。
アリオ千本引きは名前のとおり、くじは1000本。先着1000名に食い込まなければいけない。
普段は10時開店のアリオ。この日は9時開店。9時に間に合うようにアリオ札幌に行かなければならない。やっぱり開店前から並んでいるのだろうか。1月1日から……。何時に行くかは迷ったが、もし、9時で間に合わなかったら仕方ないと諦めることにした。
到着したのは少し遅れて9時10分。早足で抽選会場を探す。
1階の抽選会場が見つかる。そこに並ぼうとすると、
「ここに入っちゃダメだよ」
とスタッフに言われる。困惑してあたりを見回すと、どうやらここは列の先頭のほうらしい。列の最後尾はどこにあるんだろう。どうやら二階にあるという。二階……
二階の列の最後尾をようやく見つけて慌てて並ぶ。もらった整理券がこちら。
783……。ギリギリである。
新年早々、こんな1月1日の元旦から782人も並んでいるのか。みんな暇なんだろうか。「1年の計は元旦にあり」大切な大切な元旦。1年の計画をたてるべきだろう。なんでこんな当たるか当たらないかわからない列に並んでいるのだろうか。
それは僕も含めて言える。
列には結局、1時間並んだ。列が長すぎて、2階のアリオをぐるりぐるりと歩いた。アリオのツアーかよ、とツッコむ。
1時間並び、ようやく1階に。ああ、さっき見た抽選会場だ。
なぜか2階から眺めている人も存在する。
1万円を払い、抽選券と引き換える。
845……。783で並んだのにいつの間にか、845。いつ、僕の前に62人並んだんだろうか…。
クジを引く。左側の赤い部分だ。たくさんの紐から1つ引く。(店長賞というのがあったが、なんだったかは謎。わかる方、教えてください)
僕にはある思いがあった。
僕は一年に一度、海外旅行を夢見る。それは『XMAS CHANCE!』。宝くじは買わないが、年末に開催されるJRタワーの『XMAS CHANCE!』には自分なりの全精力を掛ける。使い捨てコンタクトレンズをいつも『XMAS CHANCE!』に合わせて、1年分購入する。今年は海外旅行を夢見て、約4万円購入した。13枚のクジを引く。しかし、ハズレ。今年もハズレ。もう8年ぐらい夢見続けている。
今年はオーロラタウンのクジも引いた。それもハズレ。
そしてこのやってきましたアリオ千本引き。年末のハズレを取り返すチャンス!
引く。
白だ。
ハズレ……。1時間並んだのは徒労に終わった。
福袋というものがある
結果に落胆し、アリオを歩いていると、目の前に広がったのは福袋の光景。
たくさんの福袋、福袋。福袋の海。
そうだ、多くの方にとって、初売りとは福袋を買いに来ているのだ。
花の福袋なんというのもあった。しかし、花の福袋に興味を惹かれなかった。
心惹かれる福袋を求めて、アリオを彷徨い続ける。
しかし、僕が心惹かれる福袋なんてなかった。アリオにはたくさんの福袋があるのに、僕にとって心惹かれる福袋なんて一つもなかった。
たくさんの福袋の中の孤独。日本中から福を運んで、元旦に集う。その時に吹かれる福袋風が僕を指差し、襲ってくる。
「お前にもたらす、福はなし」
そんなことを言われている気分だった。僕は福袋の弊害に襲われていた。
詰め放題というものがある
福袋から追い詰められた僕はアリオを彷徨っていた。威勢の良い声がこだまする中、顔を見上げると目についたのは意外なセールだった。
つめつめセール。。。つめつめセールとは……?
商品を袋に詰めることができる、いわゆる詰め放題らしい。
福袋と違って、中が見えるのが良い。これなら欲しいものがあるかも…。
レトルトおかゆ詰め放題…。いや、レトルトおかゆは食べる予定がないな。
缶詰バウチ詰め放題…。いや、缶詰は嫌いだしな…。
他にはどんな詰め放題があるんだろか?
スポンジ詰め放題……。スポンジはそんなに使わないしな…。
カイロ詰め放題……。ウインタースポーツもしないし…カイロも使わない…
何も買わなかったアリオ初売り
結局のところ、何も詰めなかった。これだけ詰め放題なのに何も詰めなかったか。福袋も買わなかった。なんのための初売りなのか。クジも当たらなかった。なんのために来たのだろうか。僕は自問自答する。
ふらっと入ったGUが僕に語りかける。
セール中の出会いは一期一会。
セール中の出会いは一期一会。
セール中の出会いは一期一会。
大事なことだから、二回繰り返す。もっと大事なことだから、三回繰り返す。
僕は一期一会を大切にできない人間だった。
「1年の計は元旦にあり」
一年の計である元旦に、クジにハズレ、福袋は買わず、つめつめセールでは何も詰めず、GUに説教されるという一年の始まりだった。
《告知コーナー》