好奇心をくすぐるその歌声 感想文:かわさきジャズ まらしぃ With 初音ミク、鏡音リン piano acoustic live
はじめに
2019年11月17日日曜日に「かわさきジャズ」という音楽イベントに参加しました。
その前にボーマス(ボーカロイドonly event
「THE VOC@LOiD M@STER43」)に参加して、心は満たされていました。でも、遠征した第一目的は、かわさきジャズに参加することだったので、とても楽しみで向かっている間、わくわくしました。
第1回目の去年の公演は、初音ミクと巡音ルカが登場し、人間の歌手と一緒に歌ったり、アカペラやJazzの歌を披露したそうです。
今年は、ピアノの弾いてみたで有名なまらしぃさんと、初音ミクと鏡音リンが出演とのことでした。
実は、私は楽器の中でピアノが一番好きで、ピアノの弾いてみた動画もよく見ているくらいでした。
まらしぃさんの動画ももちろん見ていて、生で聴けるのも楽しみの一つでした。
もちろん、1番の楽しみは、ボーカロイドたちの歌いっぷりがどんな感じなのか、でした。
楽しめるんだろうなと思いながら、当日自分の期待値が高くなりすぎないことを祈っていました。
期待値が高すぎて、がっかりしてしまう経験をよくしていたので……。でも、当日はボーマスが楽しすぎて「今日は楽しい日だなー」と、ほどほどの気持ちで迎えられたのでよかったです。
会場について
さて、会場につきました。会場は、「カルッツかわさき」というところでした。川崎市のスポーツ・文化総合センターだそうです。
会場は、広くもなく狭くもなく、中学のときに行った区の連合音楽会の会場より、広いくらいでした。
席は二階席の真ん中で、ステージと会場を見渡せるとてもいい席でした。
ピアノのライブなのになんでクラブミュージックがかかってるんだろう。そんなことを思いながら、開演を待ちました。
第1部
照明が落ち、幕が上がりました。
中央にグランドピアノと、飲み物を置く台(小さな机?)が置いてありました。
まらしぃさんはもうピアノの前に座っていて(ちょっと記憶が怪しいです)、MCなしで曲を弾き始めました。
一音で何の曲がわかりました。この音は、私が初めて聴いたボカロ曲ryoさんの“メルト”です。
まらしぃさんは、動画でもそうですが、力強くフォルテッシモ!!という感じに弾く姿が印象的でした。
また、メルトのピアノが好きな私は、ピアノアレンジが聴けて、よりオリジナルのピアノのフレーズたちが引き立ってて聴けてよかったなと思いました。
今日のライブの楽しみに生きてきたというまらしぃさん。私もです!と私も思いました。
ライブは第1部がまらしぃさんのソロライブで、第2部がまらしぃさんと初音ミク、鏡音リンのライブになると話されていました。
※今回はプログラムが配られていませんでした。
MCを挟んで、まらしぃさんはボカロ曲を披露してくれました。
wowakaさんの“ローリンガル”、ナユタン星人さんの“エイリアンエイリアン”、ハチさんの“マトリョシカ”。
ローリンガールはちょっと泣いてしまったのですが、会場がふつうに盛り上がていてよかったです。全然しんみりした空気じゃなくて。
皆が知ってるボカロ曲を披露してくれました。ピアノのライブ(コンサート?)には、行ったことがなかったのですが、全部暗譜しててすごいと思いました。
MCで「東京から来た人ー?」「神奈川から来た人ー?」ときて、「名古屋から来た人ー?」と聞いてもらえたの、めちゃめちゃ元気に手を振りました。
そうなんです。実は、まらしぃさんも名古屋出身なのです。
MCを挟んで、40mPさんの“からくりピエロ”、ナブナさんの“ウミユリ海底譚”を披露してくれました。
からくりピエロが個人的に一番好きした。音色だったり、強弱だったり。
※曲とMCのタイミング(区切り方)は記憶が曖昧で間違ってる可能性が高いです。申し訳ないです。
まらしぃさんは、ジャズはできないけど、お洒落な感じを目指しました、とバルーンさんの“シャルル”(お洒落なシャルルだから「おシャルル」を披露してくれました。
いいアレンジで、素敵だなって思いました。
次にハチさんの“砂の惑星”を弾き、MCで最後に弾くkemuさんの“六兆年と一夜物語”のエピソードを聞かせてくれました。
kemuさんとは、年も近くて出身も近かったので一緒に太鼓の達人で“六兆年と物語”をプレイして、どちらも都有でゲームオーバーしましたが、まらしぃさんの方がスコアは上だったそうです。
あっという間に一部が終わってしまいました。
第2部
いよいよお待ちかねの二部が始まりました。
幕があると、二つの画面(縦長、透過スクリーンではない)が中央に設置されていました。
また、ピアノの向きが正面から見ると、まらしぃさんの弾いてる後姿がばっちり見える位置に変わっていました。
ミクとリンを皆で呼んで(すみません、ここも記憶曖昧です)、二人が現れました。
会場がワーッと盛り上がるのを感じました。
「初音ミクです」と、はきはきとステージ慣れしたアイドルみたいにしゃべるミクさん。
「鏡音リンです」と、元気な女の子!という感じでしゃべるリンちゃん。
可愛すぎる。あと、鏡音リンがしゃべるところをステージで初めて聞いたので、すごくどきどきしました。ボカロのキャラクターとしては、鏡音のリンちゃんが一番好きなので……。
いったんリンちゃんは退場して、ミクさんだけになって1曲目が始まりました。
MCでいろいろお話してた気もしましたが、覚えてないです……残念。
一曲目のまらしぃさんが「cat's dance」とタイトルコールしたときに、テンション上がりすぎた私は、小さな悲鳴みたいなのを上げてしまいました。
※タイトルコールたぶんあった気がしました。
猫の歌なので、ミクさんが猫のポーズしながら、猫の声真似をしててあざといけど、可愛いんだよなって思ってみてました。
歌声は、投稿されたものではなくて新しく調声されたものでした。子音の発音の仕方だったり、母音の伸びだったり、声の情報が豊かでした。
人間のようにまではいかなくて、ちゃんと初音ミクが初音ミクらしく情緒豊かに歌っているというのでしょうか……。上手い言葉が、見つかりませんね。
1曲目が終わり、MCを挟みます。次の曲は“空想少女への恋手紙”で、実はこの曲は、まらしぃさんが初音ミクに向けて書いた作品なんだそうです。
投稿文には、“2次元に恋をしてしまった男の人の曲”とあったのですが、まさかこの曲を自分が弾いて、ミクさんが歌ってくれるなんて、と感慨深そうにまらしぃさんが語ってくれました。
夢がたくさん叶うライブとまらしぃさんはお話しされてて、初音ミクを通して夢がかなった人がここにもいらっしゃるんだな、となんだか嬉しく思いました。
この曲を聴いてるときに、ミクさんの声が綺麗で美しくて、泣いてしまいました。
ああ、人によっては耳障りで雑音でしかないけど、私はこの歌声が本当に心から好きだなって泣きました。
次の曲は、意外や意外。Perfumeさんの“チョコレイト・ディスコ”でした。
しかも、ミクさんの歌声が生っぽい!本家と対照的な歌い方をしていました。ビブラードをかけたりだとか、抑揚をつけてるわけではなかったのですが、第一印象は、「生っぽい」でした。
水滴みたいなしっとりした声で、darkでもsweetでもない。しいていういうならUTAUっぽい。
れるりりさんのV3の“いつもより少しだけ泣き虫な空”の歌声に近い気もしました。
聴いててどきどきわくわくしました。
この選曲は、まらしぃさんが過去にCMで弾いたことがあったためだそうです。
生っぽく歌う初音ミク。それがとても印象的でした。
MCで皆でリンちゃんを呼んで、リンちゃんが登場しました。ミクとリンがお互い「ちゃん付け呼び」なのと、すごい元気っ子なのに、内股なリンちゃんがすごい可愛いと思いました。
次は、リンちゃんのターン。“天照ラセ”を伸びやかに力強く歌うリンちゃんの声は、素敵でした。
ぴょこぴょこ動く白い大きなリボンも印象的でした。
次の曲は、最初の一音聴いて「ハッ?」って小さく声が出ちゃいました。
この音は、iroha(sasaki)さんの炉心融解……!
しかも歌声が、鏡音リンっぽくない。初音ミクが歌っているような発声の仕方でした。
鏡音リンの声は、幼くて、でも力強いのが特徴だと思います。でも、“炉心融解”を歌っている声は、そういった特徴を全く感じませんでした。
目の前には、鏡音リンが歌っている姿がはっきり見えるのに、声が目をつぶって聴いたら初音ミクに聞こえる。
すごく不思議な感じがしました。「これ、本当にリンちゃんが歌ってるの?」と思いました。
おそらく新しい技術で歌わせていると予想できました。どういう技術なんだろう。
炉心融解の有名な部分シャウトも、高いけど力強くて聴きやすかったのですが、リンちゃんっぽさはなかったですね。
次は……この強いイントロは、Neruさんのロストワンの号哭!
こちらはいつもの鏡音リンちゃんの歌声でした。
MCで鏡音リンちゃんが「3曲連続で歌うことってあまりないから息切れしちゃった」と言ってて、会場では笑いが起きていました。
最後は、黒うさPさんの“千本桜”を2人で歌ってくれました。
千本桜では、まさかの歌詞間違えがあったみたいです。これ、ライブっぽさを出すために鏡音リンが歌いなれてないからミスをした、という演出だったらすごいなと思います。
あと、千本桜の最後の方で、ミクさんとリンちゃんがジャンプしてポーズ決めたんですけど、ジャンプした瞬間に一瞬画面の映像がズレるバグ(?)が発生してて、元気すぎてバグっちゃいました感じがあって、すごくよかったです。いや、ほんとに。
アンコールは、今回のライブすることをイメージして作った“霖と五線譜”、“夢、時々…”、“アマツキツネ”を披露してくれました。どの曲も、まらしぃさんのボカロオリジナル曲です。
アンコールの最初は、ミクさんいわく「リンちゃんは疲れてるのでちょっとお休み」で、一曲目はミクさんソロで、二曲目の途中に鏡音リンが登場して一緒に歌う演出がありました。
二曲目が終わって、手を振ってくれるミクとリン、まらしぃさん。ミクさんとまらしぃさんは、退場したのにそれに気づかず手を振り続けるリンちゃん。
自分一人になってることに、ハッと気づくリンちゃん。
「歌い足りなーい」といって、アカペラで“アマツキツネ”を力強く歌いだす鏡音リンの歌声に、心震えました。
アカペラリンちゃん、いい、とても。
途中からまらしぃさんが入場して、ピアノの音と鏡音リンの歌声が重なりました。
歌い終わると、鏡音リンは姿を消してしまいました。
アウトロをまらしぃさん一人だけになって終わる、というエンディングでした。
最後に
今回かわさきジャズに初めて参加したのですが、すごくよかったです。
音楽面は、ジャズの要素は少なかったのですが、演奏も歌も聴きごたえがありました。ソフトウェアとしての、新たな挑戦をしたのかな、と思える歌声もありましたし、わくわくしました。
映像面は、違和感なく伸び伸びと歌っている姿やふわふわと揺れる髪質、ぴょこぴょこゆれる白リボンどれも自然で、綺麗でした。
初音ミクは歌っているとき、まらしぃさんとときどきアイコンタクトとっていましたが、リンちゃんはほぼ客席を見ていて、個性が出ていて面白かったです。
最後だけバグってたのも、ご愛敬だと思います。
MC……特に人とボカロのMCは初めてみました。まらしぃさんが、嬉しそうに話してるのがよく伝わってきました。
しゃべらなくても表情と身振り手振りで、やりとりしてるのがなんだかすごいと感じました。
私の初音ミクは話さないので、こういう感じなのかもなとも思いました。
今回の初音ミクと鏡音リンは、プロジェクトセカイのミクとリンなので、マジカルミライのミクとリンとは別物としてみていました。
もちろん私の中の、ミクさんやリンちゃんとも別物としてみていました。
あと、マジカルミライのライブは歌った後に、すぐボカロたちが消えてしまうので、消えずに余韻を持ったままそこにいる演出はいいと感じました。
今回このライブに参加して思ったのは、新しい試みをする公式イベントがあるということ、このことにボカロの未来は明るいなと思いました。
マジカルミライ2019で歌われた曲たちが、今のボカロ曲たちだったときも、未来は明るいと感じました。
また、ファンメイドのライブももっといろいろなライブがあっても、いいんだろうなと思いました。
余談になりますが、私の初めてのボカロライブは、第1回世界ボーカロイド大会のファンメイドライブで、初音ミクと人間が一緒に歌っていました。
ボーカロイドと歌うライブや特定のジャンルに特化したライブなど、もっといろいろあってもいいのかなと思います。
最近だとボカクラ(ボーカロイドの曲がかかるクラブイベント)で、ボカロのキャラがDJとして出演するイベントも出てきています。
これからのボーカロイドも、目が離せません。
かわさきジャズは毎年行われているそうなので、来年もぜひ参加したいです。
ボーカロイドの今が見たい人は、ぜひかわさきジャズへ参加してみてください。