【連載】 魔法使いの街3(魔法仕掛けのルーナ15)
走りに走って、ようやく目指していた場所に辿り着いた時、アレクは疲労困憊といった様子だった。もう余計なものには関わるまいと気を張っていた結果だろう。
彼の目の前には森があった。
人工物にあふれた街中とは打って変わって、自然のままの姿を保っているように見える。ほんの入り口に立っているだけでも静謐な香りが鼻腔に届き、アレクの心は落ち着きを取り戻していった。
(兄さんの家は、この先だな)
ちらと背後をうかがうと、まるで、隙間なく並んだ建物に森が囲まれているかのようだった。実際