【連載】 魔法使いの街6(魔法仕掛けのルーナ18)
「ところで君、前にどこかで会ったかな?」
男が顔を近付けてきた。彼は顎に手をやり、目を細めている。
アレクは予想外の質問に面食らった。
「え? いや、それはないと思いますけど……」
「本当に?」
「だって僕は、この街に来たのは今日が初めてで……」
「そうか。うーん、どっかで見た顔だと思ったんだけどな」
男はまだ納得がいかない様子で、アレクの顔をじろじろと見ている。と思ったら、急に何かに驚いたように眉を上げた。
「うん? 今、初めてって言ったかい? ここいら、観光で来るよ