嬉しいことがありました
親友の結婚式は、よく晴れた冬の日に
華やかにおこなわれました。
大学時代、軽音楽部で一緒にトロンボーンを吹いた
私の大切な仲間です。
コロナの影響で一年延期になってしまい、やっと開催されるこの日をずっと楽しみにしていました。
結婚式に参列する私の心には、楽しみと緊張がぐるぐると渦巻いていました。
その理由は、私は人生で初めて、友人代表スピーチを
任せてもらったから。
式のひと月ほど前、スピーチの依頼を受けた時、とっても嬉しかった。
だって、彼女が私を選んでくれたから。
その気持ちに全力で応えたいと、私はその夜から
ノートにたくさん、伝えたい思いを書き起こしました。
9年前に出会ってから今まで、彼女と過ごしたたくさんの思い出が、私の頭の中に溢れました。
私はスピーチがなくても、彼女にお手紙を書いて結婚式の日に渡すと決めていたので、スピーチの場でもお手紙を読むことにしました。
大学4年間の経験、その時に感じた喜びや流した涙、社会人になってからの彼女について。
手紙を書く手は止まりませんでした。
そして迎えた結婚式、何よりも私は
一年ぶりに会える彼女の花嫁姿が楽しみでした。
同じ軽音楽部の友達も参列していて、大学時代に戻ったような安心感で緊張がほぐれ、でもみんなきちんと大人になっていて、込み上げてくるものがありました。
バージンロードを歩く親友の姿は、本当に本当に美しかった。
高校の教師をしながらこの日を迎えるまで、きっと大変に忙しい思いをしただろうに、それを一切見せない彼女の輝く笑顔には、涙を流さずにはいられませんでした。
披露宴も中盤に差し掛かり、
先に新郎側のご友人がマイクの前に立たれました。
彼は私と同い年でしたが、メモ一つ見ず、とてもリラックスして、新郎といつものようにお話をするかのように、スピーチを終えました。会場は温まった雰囲気に包まれて、私は安心してマイクに向かうことができました。
そして、ついに私の番。
何日も前から読む練習をしましたが、彼女の顔を見ると、やはり泣いてしまいました。
それでも私は自分の想いをしっかり伝えたくて、
緊張と涙で震える声で、なんとか最後まで読み切りました。
手紙を彼女に渡したとき、彼女は私を、ぎゅっと抱きしめてくれました。
伝わって良かった。心から思いました。
結婚式は結びを迎え、帰路に立とうとした時
新婦側の来賓の教師の方が、私を呼び止めて話しかけてくださいました。
先程のスピーチ、とても感動しました!今までの友人スピーチで一番良かった。なにかお仕事で執筆活動をされているんですか?
大学時代は、友達の中では日本語が下手で有名だった私が(墓穴を「はかあな」と読んで笑われた)、
こうして誰かに褒めてもらえる文章を書くことが出来たことが、とても嬉しかったです。
その気持ちを残しておきたくて、
初めてNOTEに綴ってみました。