シブカルガール・オリーブガール
~藍色茜色のおそろいベレー帽 October 25 [Fri], 2013, 22:55~
渋谷系後追い世代の地方女子(ローカル・ガール)には、
渋谷はおしゃれで洗練された文化的な女性が集う街に思われた。
その一方でリアルタイムに聞こえてくる渋谷は、
蘭ちゃんの言うように(大石蘭ちゃんじゃなくて藤井みほな『GALS!』の蘭ちゃんだよ)、
109をランドマークとするギャルの街だった。
数年経ち、東京OLとなったわたしは定期券内で渋谷に行ける。
今の渋谷って、どんな渋谷?
シブカル祭に行ってきたよ。
2月に雑誌『199X』発売のタイミングで開催された、
甘噛みマガジンの90年代カルチャートークイベント@阿佐ヶ谷ロフトを思い出す。
登壇者のみなさんが90年代ファッション(迷彩柄!)で渋谷の街を歩いても、
そこにHMVもWAVEもCISCOもなかったように、当時の渋谷はもうどこにもない。
ROUND TABLEはもはやアニソンの人だし、
花澤香菜のデビュー・アルバムのプロデューサー陣の豪華さにはめまいがしちゃう。
そして渋谷系音楽はアキシブ系なんて言葉でアキバ系ミュージックと連接される
(でんぱ組.incがカヴァーした「強い気持ち・強い愛」は大変自覚的)。
シブカル祭へ足を運んだのは今年が初めてだったけれど、
渋谷は秋葉原化しているのだな、というのが第一印象。
秋葉原的オタク文化が日本じゅうを席巻しているのは事実として知っていたけど、
まさか渋谷という街らしさを覆い隠してしまうほどとは!
音楽ジャンルにおいて発見された渋谷系と秋葉原系の高い親和性は、
いまやファッションを含めたカルチャー全体にまで影響を及ぼしている。
発端はカイカイキキというか村上隆であることは間違いないのだろうけど、
その土壌が会田誠を呼び寄せ、愛まどんな、マコプリ…と、その先にもフォロワーがたくさんたくさんいる。
あんな写真を見せられたらバンドじゃないもん!が聴きたくなるし水玉らむねちゃんを推したくなるに決まってるし、
マドモアゼルあんなちゃんはクリエイティブに魔法のアイテムを自作して変身できる魔法少女だし、
かんだ☆みのりちゃんは自分自身が作品になることを諦めないで考え抜いて欲しい。
シブカルガールの作品たちは自分が受容して大切にしてきた少女文化の延長線上にある。
それは「自分の感性が何でつくられているか」の問いかけ。
シブカル祭は作品展示とお買い物だけでなくイベントも充実していて、
今夜は金沢21世紀美術館高橋律子さんのトークイベントを聴いてきた。
雑誌メディアの歴史と、オリーブという雑誌がクリエイティブガールをいかに生成したかということ。
日常とは離れた外国の絵本みたいな世界観を、工夫して日常に持ってくるというクリエイティビティ。
その感覚こそが、オリーブ少女たちをあの子とはちょっと違うわたしにさせて、きっと何者かになれるような気持ちにさせたのね。
90年代女子にまで考察が及んだトークイベント後半。
何者かになれる感覚を抱き続けてクリエイターとなる未婚・晩婚組元オリーブ少女がいる一方で、
「ママは元オリーブ少女」な90年代女子といっしょになかよく少女文化を楽しむ既婚組元オリーブ少女。
いずれにせよオリーブ少女はいつまでもオリーブ少女で、
その同じ雑誌を読んだ楽しさが会場全体を包み込んでいて羨ましくなった80年代女子でした。
シブカル祭は今月いっぱい。
シブカルガールはもはや渋谷にいないのかもしれないけど、いま渋谷に行くとシブカルガールたちに会えるよ。
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