恬淡な私が送る、君への紫苑。
こんなふうに、寝床が見つからずに過ごした日々が2年前もあったね。どんなにふかふかな布団でもどんなに暖かいあの人の腕の中でも眠れない日があったね。そんなのもうないと、思ってたね。でも、きっと、私が大人になり切るまで、そういう時は来るんだ。
今がその時で、夢にまでみていた彼の腕から逃げてる。ふかふかのマットレスから落ちて汚い絨毯の上に落ちてる。あの時は、ベッドの端っこで涙を堪えて泣いてたね。今は泣く理由もなくただ暗闇を見つめてる。
薬を飲んでも寝れないね。市子ちゃんが歌ってるね。あの時より無気力で、明日にはやる気を出さなきゃ、と涙も出ない。明日もそうでもなくてどうでいいんじゃないかなって、そう思ってるの。
どうしてこうも突拍子もないこと言ってしまうんだろう?ね。押し殺して大人になるより言って子供のままでいたいの。素直さはいつも、星がくれた優しさ。だけど、この星では厄介なの。かぐや姫が夜空を見上げた理由が、こんな夜はよくわかる。
誰の寝息も聞きたくない。自分でさえも。誰も生きてない、それでも輝いてる街を見てみたい。それでも生きている何かがいないかと耳を澄ませるほどに、静寂であれ。
あの子が欲しい
あの子じゃわからん
鬼さんこちら
手の鳴る方へ
誰かの声がするね。誰でもない、あなたの声。耳をすませばよくわかる。骨まで響くよく通る声。よく聞いて、自分が正しいと思える?
うんそう思うよ。
それなのに、正しくないように大事な人から言われるの。だから間違ってるかもって。
誰の意見がどうなの?あなたの感覚と意見に訴えかける何かが相手の中にある?
わからない。
では、まだ自分自身の意見に自信を持っていいのでは。相手も素直になれるまで、あなたが素直でいるべきよ。
変容してもいい?
いいよ、それで、いいよ。
タワーから落ちたあの子、今では誰かの奥さん。何もかも許してもらって心も体も生まれ変わったかな?知ってること、知らないこと。求めてる何かがないと、いつも幻想を見てる。
あゝ、私は生まれるのが遅すぎたなぁ。
地球も宇宙もあらゆるものが発見されて、私が見つけるものは1つも残らない。
あゝ、私は生まれるのが早すぎたなぁ。
今ある叡智の終結をきっとみられない。