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何でも見つかる夜に、こころだけが見つからない

感動。その一つに本がある。
読書量は決して多いタイプではないけれど、少ない方でもないと思う。
もちろん読む本すべてに感動するわけでもない。だからこそ、ときどきはっとする本に出合ったときは格別で、はっとする筆者に出会えた時は尚更。
そんな出会いを感じた本を紹介したい。

何でも見つかる夜に、心だけが見つからない
東畑開人

心理カウンセラーである東畑開人氏が書いた本。
ここ1年間で読んだ本の中で、心を静かにゆっさゆっさ揺らされた。

この本には7つのテーマが書かれていて、例えばその中の1つが「働くこと」と「愛すること」。
大人にできなくてはならないことは働くことと愛することだ、とフロイトの言葉を筆者は引用する。
ざっくりと説明すれば、働くこと=目的があり「する」ことであり、愛すること=それ自体が目的で「いる」こと。
それらはバランスがとれていなければいけないし、どちらもなくてはならないものだけど、決して混ぜてしまってはいけないものなのだそうだ。

私はミレニアム世代で進学校を出ており、高校生の時は、大人から「今は遊ぶんじゃなくて、勉強しなさい。受かってから遊びなさい」と楽しみが先にあるから、今の努力をしなさいと言われて過ごしていた。
頑張れば、明るい未来がある。
アリとキリギリスの「アリ」であると信じて生きていた気がする。
(と、同時に違うんじゃないか?とも疑ってもいたのだけど)

その生き方のクセが、いまだに抜けないときがある。
今は楽しくない踏ん張りをすることが、最善だ。
つまり、目的のために「面白くないこと」をするべきだという無意識の自分の中の常識が顔を出す時がある。
それどころか、日々のことで疲れてくると意識的な判断ができず、とりあえず今頑張っておこうと目的すら見ずに頑張ってしまうことすらある。
きっと何かのためになる。
そう思って、面白くないことをこなす淡々とした作業に埋め尽くされる。
そうすると、どんどん疲労は溜まってきて負のスパイラル。
仕事では、目的をもって業務することが大事な側面が多いけれども、プライベートでもそうなってしまう。平日が忙しくなるから土日に作り置きをする、まとめて洗濯をする、掃除をする、買い置きをしておく、疲労抜きをするためにしっかり休んでおく…。そうなると、せっかくの休日は「平日をうまく回すために何かをする」時間になってしまい「家族との時間を楽しむためにいる」時間でなくなる。

そんな生き方をしている自身に気づかされた。
つい働くと愛するを混ぜてしまっていた。家族と過ごすこと。それは何かのためじゃなくて、それ自体が目的。

こんな風に生きることの豊かさを掘り下げてくれ、気づきを与えてくれたのがこの本なのだ。

一方で、このnoteをはじめたきっかけの一つが、「楽しく働く」を増やしたいという想いだ。
人生の大半を掛けるのが「仕事」であって、そうであるならば楽しく、ワクワクして、ココロオドルようなものに夢中になって働きたい。それが生きることになると思うから。
それはつまり、働くこと中心である仕事を愛することへと変換させたいということなのかもしれない。
何かのために「する」を、ただそれをするために「いる」に。

そして、世の中にそんな人が少しでも増えればよいと思う。少なくとも、私と同じく、楽しく働きたいと思っている人に少しでも役立つ何かになれば良いと思う。
そんな願いを込めて、まずは1つ目の記事を書いてみた。

そして、感動とは、曖昧に捉えていたものを定義して、思考の幅を広げてくれる。その中にも、筆者の強いメッセージがきちんと込められている。
そんなことから引き起こされるものかもしれない。


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Akane@もっと豊かに働く世界を
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