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読書感想文&映画感想文

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私が読んだ本のまとめ、観た映画のまとめ
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嘘の醜さと美しさ~映画「怪物」を観て~

嘘の醜さと美しさ~映画「怪物」を観て~

ある映画を良いと感じるとき。
余韻の広がりが大きなものを良いと感じることが多い。
観た瞬間のインパクトは大切だけれども、
映画館を出て日常に戻ったあと、何度も何度も心に何かが広がる。
余韻で泣いてしまうことすらある。
「感動」を劇場限りにせず、時限装置にする。その衝撃にも感動を覚える。

カンヌ国際映画祭で脚本賞を受賞した「怪物」を観てきた。

怪物だーれだ?

映画のポスターにもあるキャッチコピ

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「君たちはどう生きるか」は爽快感と問いをもたらした

「君たちはどう生きるか」は爽快感と問いをもたらした

「これは宮崎駿監督の遺言だ。」
「現代の神話だ。」
「今までの作品は宮崎駿の上澄みでしかなかったのか」

そんな前評判を聞きつつ、映画館に足を運んだ。

多くの人の感想と同じように、私も多くのことを理解しきれなかった。
けれど、とても刺激が多く爽快感があった。
次から次へと浴びるような情報量の多さだったが、それが重くなく気持ち良さを感じた。
自然の中で、鳥のさえずりとひぐらしの声と木々の音と光のゆ

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何でも見つかる夜に、こころだけが見つからない

何でも見つかる夜に、こころだけが見つからない

感動。その一つに本がある。
読書量は決して多いタイプではないけれど、少ない方でもないと思う。
もちろん読む本すべてに感動するわけでもない。だからこそ、ときどきはっとする本に出合ったときは格別で、はっとする筆者に出会えた時は尚更。
そんな出会いを感じた本を紹介したい。

何でも見つかる夜に、心だけが見つからない
東畑開人

心理カウンセラーである東畑開人氏が書いた本。
ここ1年間で読んだ本の中で、心

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じぶん時間を生きる TRANSITION

じぶん時間を生きる TRANSITION

ここ最近ずっと、うっすらと感じてきたことがあった。
働くことが、楽しくない。決して苦しいわけではない。
けれど、面白そうと思うことをしているのに、成長実感もあるのに、自分で選んだはずなのに、どこか違う。

そんなモヤモヤした状態を読み解くヒントを与えてくれた1冊がこの本だった。
「じぶん時間を生きる TRANSITION 佐宗邦威」

筆者は東大卒、P&G出身と論理的思考のエリート街道まっしぐらか

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誰かのセンスを感じたとき、手に取る一冊

誰かのセンスを感じたとき、手に取る一冊

ひらめきの神様なんて、どこにもいやしない。

著者はあのくまモンの仕掛け人である水野学氏。彼はこの本で、そう語る。
センスは先天的なものではなく、後天的で研鑽によって習得できるものだ。
というのだ。

センスは知識からはじまる
水野学 著

発刊が10年ほど前のこの本が、紀伊國屋書店では未だに入り口近くに平積みされていた。
変化が速く混沌としてきたこの時代に、よりセンスが求められるようになってきた

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