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「伝わらない」を知る-ヨガインストラクターのための伝え方入門


ヨガのインストラクターとして、
生徒さんに指示を出すとき、
「きっと伝わっているはず」と思っていませんか?

私たちは無意識のうちに、
自分の言葉が相手に正確に伝わっていると思い込みがちです。

しかし、実際にはそれは幻想かもしれません。
この記事では、「伝わらない」という現実を受け入れることが、
より良いインストラクションへと繋がる
と言うことをお話しします。

「分かる」とは何か?

人が何かを「分かる」「理解する」とき、
それは頭の中にイメージが浮かぶ瞬間。

例えば、「リラックスして」という言葉を聞いたとき、
ベッドで横になっている様子を思い浮かべる人もいれば、
お風呂に浸かっている感覚を思い浮かべる人もいるでしょう。

つまり、「分かる」というのは、
その人の経験に基づいて、
具体的な映像や感覚が思い浮かぶことなのです。
逆に言えば、経験したことのないことは、
鮮明なイメージを描くことが難しいということです。


日常生活の中の「伝わらない」体験

夫婦喧嘩の原因の多くはこの
「伝わらない」ではないでしょうか?

妊娠中の私が夫に柔軟剤を買いに行ってもらった時のエピソードがあります
下記の記事内に詳しく書いています。

私の中では「柔軟剤の匂いが無理で売り場に行くのも辛いから買ってきて」
と言う言葉の意図は
「匂いが少ない柔軟剤を買ってきて」でしたが
夫にはその意図が全く伝わっていませんでした。

当たり前ですが、夫は妊娠もつわりも
経験したことがありません。
だから単純に「売り場の匂いが嫌」としか
理解できなかったのです。

このように、日常生活では
最も身近な相手との間でも「伝わらない」ことは頻繁に起こります。


ヨガインストラクターとしての「伝える」責任

では、なぜこの「伝わらない」という認識が、
ヨガのインストラクターにとって重要なのでしょうか。

私たちは仕事として人々を指導する立場にいます。
生徒さんは、インストラクターの指示に耳を傾け
理解しようと努力してくれています。
しかし「想像して分かって」期待することは
サービスを提供する側としては不適切です。


伝わるインストラクションのための3つのポイント

1. 生徒の背景を理解する

生徒さんは年齢層、ヨガや運動の経験、職業や生活スタイルなど
さまざまな背景を持っています。
その背景によって、理解してもらえる例え話は変わります。

例えば、
中学生に「仕事の上司との関係性」を例にヨガ哲学を話しても
理解し難いことは想像できるかと思います。

生徒さんの背景によって、
使用する表現を選びましょう。

2. 共通の経験から説明を始める

まずは、誰もが経験したことのある動作や感覚を使うと理解されやすいです。

例えば、
「階段を上るときのように」
「大きな荷物を持ち上げるように」
または、今この瞬間に見えている景色や天気なども
共通の経験と言えるでしょう。

生徒さんとインストラクターの共通項を見つけることが
「伝わる」インストラクションの助けになります。

3. 80%の理解を目指す現実的なアプローチ

100%の理解を求めることは現実的ではありません。
むしろ、80%程度の理解を目指し、
そこから生徒自身の体験を通じて理解を深めてもらう方が効果的です。
そのために:

  • 複数の表現方法を用意する

  • フィードバックを観察する

  • 必要に応じて表現を変える柔軟さを持つ

まとめ

「伝わらない」ことを知り、受け入れることは、
むしろ私たちのインストラクションを向上させるチャンスです。

生徒さんの背景を理解し、
共通の経験から説明を始め、
現実的な目標を設定すること
で、
より効果的なインストラクションが可能になります。

次回は、
「インストラクション上手くいかない」
と悩む人が
圧倒的にやっていないこと
をお伝えします!


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あかね//ヨガインストラクション研究室-失敗から学んだ、伝え方のヒント-
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