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芸術の秋は乾燥から

※2023年10月 
 102号教室だより


長かった夏がやっと終わり、秋らしい爽やかな気候となりました。

「天高く馬超える秋」などと言いますが、空が高く見えるのはなぜでしょう。

それは、空気が乾燥しており空気中の水蒸気などの粒子が小さく太陽光の中でも波長が短い光を拡散させるので青く見えるのだそうです。

また、「芸術の秋」とも言われますが、こちらも空気の乾燥と密接な関係があるのではと、私は考えています。

少なくとも、音楽において空気の乾燥は重要なポイントです。

特に木で出来た楽器たちにとって湿度は音色の良し悪しに直接関わっています。

木は空気中の水分を取り込んだり放出したりしています。

湿度が高く水分を多く含んだ楽器の音色は、なんとなく重く、響かないように思いますが、空気が軽いこの季節は楽器も心地良さげに響きます。

また、空気が澄み切っているので、音自体も軽やかに伝わっていくのではないかと思います。

けれど、乾燥していればするほどよいのかと言えばそうではありません。

湿度が低すぎると木が割れてしまう事もありますので、真冬などは加湿の必要があります。

木の楽器には気温20度前後、湿度50パーセントが程よいと言われています。

私も木の楽器を数点保有しています。6月から楽器ケースの中には楽器専用の除湿剤を入れていますが、10月には除湿剤を入れるのをやめ、12月ごろから、加湿器を使います。

ピアノも大部分木で出来ていますので、季節によって音色が変わります。特に梅雨時期には音程が変わりやすいです。

どうですか?秋が楽器にとってどんなによい季節がわかっていただけたのではないかと思います。

先日、徒歩園内にある「サローネフォンタナ」というコンサートホールにギタリスト村治奏一さんのリサイタルを聴きに行きました。

サローネフォンタナは響きを重視した設計と松の木をふんだんに使った天井が特徴で、言ってみればホール自体が木の楽器なのです。

村治奏一さんは、姉の村治佳織さんと共に日本を代表するギタリストです。

その日は、スペインの宝とも呼ばれる名器フレタという楽器を使用されました。ベストなコンデションでスペインの宝の音色を最高の演奏で聴くことができ、大変貴重な体験をした一日となりました。

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