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がんばれ!ぶきっちょさん

同じ事をしても、人それぞれの過程をたどります。何でもスイスイこなしてしまう器用な人もいれば、時間がかかる、不器用な人ぶきっちょさんもいます。

それを個性とも言いますが、それは器用さんからの目線のように思います。ぶきっちょさんからしてみると、器用さんの何倍も努力して、やっと同じか上手くいかないことの方が多いのです。がんばったにもかかわらず褒められるのは器用さん。全く不公平ではありませんか。

ところで、器用とはどういうことでしょう?

器用とは「身体を自由に動かして、芸事、工芸などを上手くこなす人。または、そのさま」つまり、身体を動かす能力に長けているので、芸事、工芸などを行うのに苦労しない、時間を要せず習得出来る人を意味するようです。

では、不器用とはどういう意味でしょう。器用の反対、つまり身体を動かす事が苦手で芸事、工芸などを行うのに苦労し、時間がかかる人と言うことになります。

ぶきっちょさん、がっかりしないで下さいね。私も、そうでした、何をやっても上手くできず、お友だちよりも大変苦労しました。

丁寧に書いているにもかかわらず、ひどい悪筆。一緒に習字を習ったお友だち達は、ドンドンスイスイ上手になって、さっさと教室をやめて行きました。一人取り残された私は、それからもお稽古を続けました。その頃一緒に習ったお友だちが、今書道を教えている私を知ったら、きっと驚くでしょう。

一番ダメな子だったじゃない!と。

ぶきっちょさんに、知ってほしいのです。あきらめさえしなければ必ず出来るということを。だから、どんなに時間がかかっても、自分の好きを見つけ、焦らず、確実に身に付けて行きましょう。そのために、たくさんの経験を積んで下さいね。

器用さん、なんでもスイスイ出来るからと油断は禁物ですよ。時間をかけないで覚えたことは、忘れるのも早いです。時には時間をかけて基本動作を反復練習するのは、とても大切です。

先日、NHKBSで放送された「バレエの王子さまになる!」というワガノワバレエアカデミーの生徒に密着したドキュメンタリー番組を見ました。ボリショイバレエ団で長年プリンシパルを務めた校長先生がプロのダンサーとして巣立つ生徒たちに、こう言います。

努力しか成功のレシピはない
才能は降ってこない、努力、努力、努力!

厳しい言葉に聞こえますが、努力すれば成功出来るよと生徒たちを鼓舞しているようにも思えます。

校長先生のように確信に満ちた強い言葉を持ってませんから、ただ見守るしかありませんが、心の中ではいつも応援しています。

必ず出来るよ。
がんばれ!ぶきっちょさん。

※「教室だより第54号」2019年10月掲載。この度、再校正しました。

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