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おすそわけ日記 63 「謎のういろう」

突如として、友人から小田原の『ういろう』が送られて来る。

銀色の粒の仁丹のような万能薬だ。

何故、これが、私に。

首を傾げながら同封の手紙を読むと、小田原のういろうを見ると私を思い出す旨、書いてある。さらに、「まだ飲んでいますか?」の一言が。

私はこれを飲んでいたのか、こっちが教えて欲しい。

子供の頃からの友人なので、記憶を四十年分遡らせるが、まるで覚えていない。

漢方薬の思い出と言えば、中学生の頃、虫歯の痛み止めに正露丸を歯に詰めたことがあるくらい。あれ、舌が痺れたんだよなぁ。まさかに、その時のことと混同してないよなぁ。

ういろうの箱に千円とある。そんな高価な物を頂いて、意味がわからなくていいのだろうか。戸惑いつつ、箱を開けたら、ビニール袋に詰められた銀色の粒が。

「あれ?これって、容れ物ないの?」

箱の中に、同梱されたチラシに「優雅な…いんろう容器」とある。

買えってことですか!?この印籠!!

ちょっと立ちくらんだ。が、うちならきっと、印籠の一つや二つあるはずだ。そう信じて母に尋ねたら「普通の印籠ならあるけど。大小。」

普通の印籠で結構ですっ!

そう言えば、家紋入りの印籠を前に母に見せられた覚えがある。あれか。

とりあえず、友人には「何故送られたのかわからないけど、ありがとう。おかげで、我が家の印籠の出番が出来ました。」とお礼の手紙を書こう。


【今日の一枚】今日、友人が送ってくれたういろうです。

今日もおつきあい頂いて、ありがとうございます

毎日、書く歓びを感じていたい、書き続ける自分を信じていたいと願っています。