普通の生活って?
商業演劇を4年くらい経験して・・・
私自身が非常に満足していたことがある。
それは元タカラジェンヌに囲まれて生活出来ていたこと・・・
え?まだ諦めてないのか!?と呆れる方もおられるだろう。
そうです!
劇団四季の舞台に立とうが、沢山の舞台経験を積もうがやっぱり私は私。
宝塚が大好きということ。
宝塚に入れなくて悔しくて、自分にもきっと活躍できる舞台があるはず!と思い上京までして色んな舞台立ってみたものの、一周まわって元タカラジェンヌと同じ舞台に立つという・・・。
当時の私は、これでいいのだ!とバカボンのパパみたいに自分に言い聞かせて過ごしていた。そして自分も元ジェンヌみたいな顔して、一緒に食事したり旅行に行ったりカラオケに行ったり観劇したりと人生を謳歌していた。究極の自己満足である。それと同時に、当たり前のことだけれど憧れのタカラジェンヌも同じ感覚や価値観を持った人間なんだと感じたかったのかも知れない。
大好きな舞台に立つという楽しい時間はすぐに過ぎ去り、ふと気が付くと29歳になっていた。
これからどうしよう?
次は何をしよう?
そう考えた時出てきた答えは「普通の生活」というキーワードだった。
私の考える普通の生活とは、会社で働くということだった。
いつも直感で動く私は、その直感に従い舞台の仕事の事務所を辞めた。
求人情報誌で見つけたある会社に電話し、面接を受けることになる。
その会社は今回、大阪支社を立ち上げるために求人していた。
ここでまた私の運の強さが発動する。最終の社長面接。
社長が劇団四季がお好きだったため面接の8割は劇団四季の話で終わった。
そして私の生まれて初めての就職活動は1件目の会社で終わることとなる。
その会社はブライダル関係の音響、写真、ビデオの会社だった。私は営業部。得意先のブライダルサロンでプロデューサーと一緒に新郎新婦と打ち合わせして挙式当日も披露宴会場に入り不備がないか確認する。
結婚式も舞台に似ているなと思った。
衣装さん、メイクさん、そしてプロデューサーがいて準備を重ねて当日、本番を迎える。華やかな世界。結婚生活は現実だけど、結婚式は夢の世界。
普通の生活をしたかった私は、満員電車に揺られながら、これが会社員というものかと実感しつつ楽しく過ごしていた。
宝塚が大好きで、ひたすら夢を追いかけて過ごしてきた私。
学生時代から、ひとつ忘れていたものがある。
それは恋愛感情。
すっかり忘れていたけれど、一般社会に出るやいなや思い出したのである。