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統治者として君臨するための調整録 ~8/22晴れる屋横浜レッツゴーパウパーにて~
はじめに
ご無沙汰しております。コロナ禍により紙による大会も罹患、壊滅。マジックオンラインでぽつぽつと回すも、イベントがないことでモチベーションも最低限度といった状況でした。
緊急事態宣言が終わるもそもそもとしてパウパーの大会は希少種な中、晴れる屋横浜店が8/22にパウパーの大会を開催されるとの情報。待ちに待っていた大会、開催に喝采、謝謝って感じでモチベーションもここに焦点をあてて、日々を過ごしてきました。感謝やモチベを執筆へのエネルギーに換えられると思いましたので、リハビリや備忘も兼ねて、大会までの経緯を書き綴ります。
調整への歩みだし
さて、大会に向けての一歩として、デッキ選択を考えました。夏は忙しい中だったので、新デッキの構築や使ったことのないアーキタイプに手を出すのは得策ではないというのが根っこにありました。最初に考えたのが黒単ベースのアーキタイプでした。時は折しもダブルマスターズの発売に関心が集まるころ。黒単への杵柄はあると自負しているので、そこにたとえば削剥/Abradeを入れたタッチ赤型だったり、喪心/Cast Downやホネツツキ/Bone Pickerをいれたネクストレベル型だったりという味付けをしようと考えました。
ここではもうひとつ”ブレイクスルー”を盛り込もうと調整をしていたのですが、そこまでの変化もなく納得のいく形にはならなかったため、断念。この黒単のお話は未来への自分へのロングパスとして、ここで止めていつか綴れればいいなと思っています。
この前後でダブマスに加えてもう一つのトピックがありました。それはパウパーにおける「禁止」です。それは探検の地図/Expedition Mapと神秘の聖域/Mystic Sanctuaryでした。禁止云々はここでは語りませんが、それにより自分の好きなアーキタイプであるアーティファクトロンが打撃を受けました。探検の地図に依存とはいわないまでも頼ったデッキだったため、使いたいと思わせる魅力は大きく失われました。そこで白羽の矢がたったのは「ボロス統治者」でした。このnoteで一貫して申し上げていますが、自分はミッドレンジ~コントロールデッキを愛しています。実のところ、ここ【ぱうぺあ杯簡易参加録(4/18・5/2分)】で使用したデッキは、「今後ずっと使っていける、愛用していけるアーキタイプ」と見込んでの、練習機会を得るための選択でした。8/22に向けて練習する価値はある、と常々持ち続けていた想いであるため、使用を決定しました。
調整の中での経験値1
たたき台、というか走り出しは5/2のレシピからでした。
当時は「死者の神のお告げ/Omen of the Deadを使いたい」というコンセプトでしたが、禁止改定をうけて、トロンが減るのでは、というところも今回の使用理由につながります。となると同型への意識はしっかりしておくべきだな、というところで、どう勝つか、が最初の調整の着眼点でした。
一度「死者の神のお告げ&コーの空漁師/Kor Skyfisher(カストーディの従者/Custodi Squire)」が決まってしまえば消耗戦に有利なため、この方向性で調整していましたが、ここで最初の違和感。死者の神のお告げが手札で待機していて勝利貢献してないなということでした。1点目が黒いということ。もちろん通常のボロス統治者と比較して黒のマナベースは変えていますがそれでも自由にでるわけではありません。2点目がリアクションカードかつインパクトは薄いということ。墓地に何も落ちていないことはよくありますし、空漁師でコンボを決めても負けが覆るわけではないシーンは多々ありました。ちなみにボロス統治者では死者の神のお告げと似た役割(?)として墓の刈り取りを採用しているレシピが見られます。一枚の強さとしては刈り取りのほうが上ですね。
とどの結局、つまるところ自分の経験上では勝利貢献度よりも機能不全のほうが目に付いてしまったということです。今後そうはならない道を再び歩む可能性がないわけではありません。が自分は別の道を模索することを考え始めました。
次の道としてカストーディの従者を複数枚採用するということでした。3/3飛行というサイズはこのデッキの中では一線画したサイズであり、アドバンテージもとれています。サイドにもう一枚忍ばせることで優位に立とうという魂胆でぇす。
が、ここでも暗雲。いろんなマッチアップでサイドアウトすることが多かったのです。基本アグロデッキ相手には抜きますし、青系相手で3/3飛行は強いことは一目瞭然ですが、そもそももっさりテンポ悪デッキで手札で重なるのも困るという気持ちでした。
ここで思い至ったのは「同型に強いだけでは価値は薄い。他のデッキにも効いてこそ」ということです。至極当然で誰だってできるならばそうしたい言葉ですが、そのマスターピースは簡単にそこらへんに転がっていませんでした。先達のレシピですら。納得できない。そういう思いで調整を続けました。
調整の中での経験値2
調整の違和感は他のところでも沸き上がりました。ぱうぺあ杯簡易参加録(4/18・5/2分)ここでも取り上げていますが、
「コーの空漁師/Kor Skyfisherやきらめく鷹/Glint Hawkが活かされない状況が耐え難かったのでドローアーティファクトは8枚採用。」
で(リーグで載るリストは7枚が大半です)、空漁師はまだスレイベンの検査官/Thraben Inspectorや、CIPのある土地(ボジューカの沼/Bojuka Bogや光輝の泉/Radiant Fountainなど)、対象不適正になった未達への旅/Journey to Nowhereなど、戻す有効範囲があるのですが、きらめく鷹はアーティファクトのみ。となると戻す可能性があるのは予言のプリズム/Prophetic Prismや黄金の卵/Golden Egg、アーティファクト土地、検査官の手がかりの三択になります。
ここで自分の人生の話になってしまうのですが、自分は幼いころからお金の使い道は自由でないほうでした。何か買ってもらうという機会は誕生日やクリスマス以外は必要最低限といった具合で他の家庭の事情はわかりませんが、ケチな性格というのが染みついております。大人になった今給料を自由に使えるということは最大の幸福の一つだと考えるようになったのは幸か不幸か。そういう人間なのです。
ここまでの話で察せる(もしくは嫌気がささず退場なさらなかった)方にはおわかりかもしれませんが、きらめく鷹で戻すカードはプリズムか卵の1択でなければいけません。となると鷹の価値の振れ幅は非常に大きなものになってしまい、安定性こそMTGの最重要性と考える自分からすると関わり合いになりたくない存在なのです。
このため、キャントリップ付きアーティファクト8枚体制は手札でダブつくよりも、1枚は引いてほしいという願いの中で生まれた結果です。ここは性格(人生)と経験則の問題なので、正しさの追究は難しいですが、キャントリップ付きアーティファクトを引かずにやむなく鷹を出してるゲームはほぼほぼ負けている記憶です。鷹に関しては代替案があるなら3以下に減らしたいぐらい安定感においては嫌悪しています。
さて話が実はだいぶそれていたのですが、冒頭で言ったこの項においての違和感の焦点は、言うなれば「安定性」です。本題に入りますが、多くのボロス統治者の一般的なレシピの土地の枚数は21です。
参考1【Pauper League on Aug 19, 2020 by lindoso01】
参考2【Pauper Challenge on Aug 16, 2020 by _Batutinha_】
参考3【Pauper Challenge on Aug 15, 2020 by Lososso】
そしてタップインランドの枚数が11~13枚で半分以上だということです。内訳はボロスの駐屯地/Boros Garrisonが3、ボジューカの沼が2、2色ランドが4前後、サイクリングランドが3前後です。このデッキの1ターン目や3ターン目はタップインでよいことが多いので理屈はつきますが、安定性には不安がつきます。まず大前提なのですがパウパーはコモンでカードパワーが低いからといって、環境のスピードが遅いというのは本質的ではなく、影の部分である1度ついた差を取り戻す、覆すことが難しいということは認識しておくべきです。確かにボロス統治者はコーの空漁師や、感電破/Galvanic Blast、虹色の断片/Prismatic Strands等、パウパーの中では高いカードパワーを持つカードを擁してはいます。アドバンテージも失いにくいです。が、歴然としたカードパワー差はなく、それよりもいちいち打つのも面倒なキャントリップ付きアーティファクト(以下キャン茶)を2マナで出しなおしているそのテンポロスこそ、危惧すべき要素だと使っていて感じていました。早いデッキには押し負け、遅いデッキには準備の時間を与えているという恐怖を抱えて使っていました。
また、マリガンによる事故も多いと感じました。沼や無職ランドもそこそこあり、ボロスの駐屯地は初手にあると非常にぎこちないため、キープできないと判断することも多く、負けにつながっているなと感じていました。
この経験の果てに、それを少しでも緩和するため、今回の自分のレシピは土地を22枚、タップインは9枚という形にしました。以下内訳と理由
ボジューカの沼 2:事故率は高まるが劇的に効く・必要になるマッチアップがあるため1だと寄与が小さすぎる。
ボロスの駐屯地 3:アド厨なので最初4にして再利用を目論んでいたが、初手に3枚、駐屯地が来たときがあって出家を決心、剃髪した。今下の毛は無毛。(どこ剃ってんだよ!)3なら邪魔しない感覚。
隔離されたステップ/Secluded Steppe、忘れられた洞窟/Forgotten Cave 3:マナフラの可能性が出たため減らしたくなかった。ケチなので99パーセントサイクリングしていた。初手以外セットせんわ。
風に削られた岩山/Wind-Scarred Crag 1:というわけで減らすならここ!ちなみにここは興隆する荒野/Thriving Heathとかにしたほうがよかった(サイドの古えの遺恨/Ancient Grudgeのために)
ちなみに22のリストもありました。参考【Torneio Pauper Mol Geek Pit 1.05 on Aug 18, 2020】22だからマナフラ決定!ではありませんが、4マナ域も多く、オーナメントによる受けもあるのでいいデッキ。思想も近そうですが、違う道を歩んでるのは確か。参考になり助かります。勝手に心の友。
調整の中での経験値 集大成
1では「同型をどうするか→同型以外も見据えて」、2では「安定性を高めるマナバランス」について自分の試行錯誤を書き綴りました。ここまでの過程が正しいかは個々に任せるとして、この項でこの二つが交差する自分のまとめがあります。ここでツイッターにも上げましたが、以下が今大会の自分のレシピです。
まあ特別大きな違いではないのですが、メインにギルドパクトの守護者/Guardian of the Guildpactが3枚入っています。
多くのボロス統治者のレシピは1です。
対同型の観点からいうと、守護者を止めるカードはありません。虹色の断片で時間稼ぎが関の山です。一度終止/Terminateを1発受けたことがありましたが2体目を出しました。僕のは3枚あるからです。リストバンドにも仕込んでいます。
同型の焦点は消耗戦です。一方のテンポがよく、一方がモタモタしていればそうならないこともありますが、結局は統治者を維持できるかが勝ち筋です。リストで構成がわかるとおり、検査官、空漁師、宮殿の歩哨/Palace Sentinelsはタフネスのほうが高いです。必然すれ違いよりにらみ合いになります。となるとカード枚数で圧殺するゲームになります。そこで横をすり抜け常に無敵で殴り続けられるギルドパクトの守護者は置けたほうの勝ちですし、枚数置ければ断片を使わせることを強要しやすく、バーンモードの詰めが容易になります。以上。
アグロでも壁として一応機能します。緑単や白単においては間に合わないこともなく、白単においてはプロテクションでのすり抜けも白指定しにくさにより、除去としてソーサリータイミングである未達への旅を減らすことができました。これはもちろん一長一短ですが、耐えるよりも早く殴り勝つほうが統治者ゲーム的にもバーン相手トロン相手にも他のロングレンジ相手にも勝利貢献度が高いと経験則で感じています。
ギルドパクトの守護者を除去できないデッキは多いです。青赤系はもちろんや青黒系も苦悶のねじれ/Agony Warpは採用して1枚とかだったのでグルマグのアンコウ/Gurmag Anglerを止める手段としての裏目が小さいという結論にしました。黒単相手は守護者で勝つゲームではなく統治者で勝つゲームなので気になりません。
4マナという重さだけが気にかかるところですが、そのために2で話したアンタップインの増量がつながってきます。タップインの致命的なところは4ターン目に4マナ出せることへの可能性を下げることとも言えます。このデッキは統治者に1ターンでも素早くなることが勝利に重要ですので、タップインのもたつきはこの面でも改善点でした。
守護者を機能的に活かすという形にする上で、唯一絶対に勝てないなというデッキはペストでした。こちらの守護者は黒死病/Pestilence維持に利用されますし、黒死病で一網打尽にしたあとに布告除去を打てばいいだけなので、勝ちへの道が作りやすいです。相手の守護者を除去できないのは自分も同じで、相手のほうが多いですしね。プレイングで勝負や!ガハハ・・・
完全に経験則ですし、これによりすべてのデッキに有利に戦うことができる最強デッキになったわけではありません。ですが、この調整によって得られた戦略と戦術と経験と自信は自分を強くしたと納得しています。いつかこの形が環境に合わず納得のいかない日が来るでしょうが、また調整を重ねレベルアップを図って、結果につなげていきます。
調整の中の経験値 番外編
核になるお話はさきほどの項で終わりになりますが、他に試行錯誤したカードや調整もあるので、知見の一つにしてもらい気になったら実際に試してください。
光輝の泉 3:調整のためリーグに2回もぐりましたが、バーンになすすべもなく負け。黄金の卵もバーンのため。でも正直焼け石に水でした。畢竟バーンは全身で炎を投げつけてくるのに対し、こちらのライフゲインは寄り道でしか訪れません。しかもじんそく。そのためさっさと殴りきる初手をキープすることも勝ち筋です。必要カード枚数おおすぎぃ!相手がもたつきつつこっちが無双の手札でやっと勝ちます。こっちが無双するだけでは相手が勝ちます。忘却の輪/Oblivion Ringとサイドの天啓の光/Ray of Revelationは一番ヤバい赤呪いを除去するためです。旗手も全部入れて7枚もいれますが負けます。ガハハ。このカードの真価は、ビート相手に駐屯地で使いまわしするような余裕が作れるときです。
息詰まる噴煙/Suffocating Fumes 2:ボロスラリー、フェアリー、エルフ等々、全体ー1はメインからないとあるとで大きく違うためサイドの枠のことも考え採用。2採用は珍しく、思い切っているかもしれないが、最低サイクリングついているしマイナス修正というのはコンバットトリックで腐りにくいので信頼。同型でもワンサイズ違うだけで一網打尽できるのでうまく使う。プロテクションではじかれないのも電謀/Electrickeryよりメイン適正ある。
スレイベンの検査官 3:毒にならないためストレートに4でええやんとなるが、1/2が何もしないことが多々あり、調整役以上の価値を見出せなかったため勝利貢献度で守護者に枠を1つ譲った。まあ空漁師で戻すのはキャン茶8枚(プラス1)で検査官が減ったとしてもプラマイ0なので。パウパーの基本サイズって2/2とか1/3とかなんだな~ってジワジワ実感した調整結果。2/1とか3/1とかあんまりいないかね。ちなみにこのデッキにおける対アンコウデッキマッチアップは検査官と感電破を用いるので有用度があがる。
亡骸のぬかるみ/Mortuary Mire:ボロスの駐屯地を4にしていたころ、同型対策として採用。まあタップインだし、黒いし、戻すのトップだしで弱いんだけど、再利用できることとカストーディ戻せたら勝ちやろっていう思惑で使ってた。ロマンや理想や机上の空論じゃ食っていけねえんだ。
眷者の装飾品/Bonder's Ornament:アーティファクト破壊ぶっささるので別軸で勝ちに行くことに。結果古えの遺恨/Ancient Grudgeとか天啓の光の緑マナがでにくくなったからthriving土地採用がよかったってさっき言ったんだけど。
神秘の指導:死者の神のお告げがピンポイントでしかほしくないとなった際の策として神秘の指導によるシルバーバレット戦略として1枚試した。眷者の装飾品もあり、サイド後の対応力もあがるため理論上よいが、後ろ向きな構成からの脱却・アーティファクト破壊への耐性・死者の神へのお告げがそもそも強くないという諸般の事情から今回は断念。ちなみに自分はいつでもミッドレンジ以降の構成であれば多色化による神秘の指導のタッチをしようと考えている。神秘の指導がパウパーで一番好きなカードかも。五色ティーチングコントロールとか作りたいな~。
信仰無き物あさり/Faithless Looting:大会後、土地を21する代わりに、これを1枚採用してもいいのかなという気持ちもでてきました。まだそこまで回していないのですが、前半のマナスク・後半のマナフラ解消や鷹を捨てたりキャン茶を引いてきたりと機能的に貢献する気がします。
大会結果
とっくに執筆に飽きてる(パウパーの「禁止」のあたり)のでパパッと。
1R 白青ファミリア 〇×× 全部きつくてワロタ。1Gは相手がダブマリのため。
2R ボロスラリー 〇〇 1G噴煙あてちゃったあ。
3R 白単ヒロイック 〇〇 1G負け寸前で未達引いて「つづけていいんか」ってつぶやいた。2Gは守護者が僕を守護しつづけた。
4R 黒単探査 〇〇 暗黒の儀式/Dark Ritualからのアンコウとかスゥルタイのゴミあさり/Sultai Scavengerとか出してくる。たまたま全部さばけてアド勝ち。
5R ジェスカイコン ×〇〇 1Gダブマリ。2G3Gは早急にクロック用意できて、REBと火力抱えることができて押し切り。luck。お相手のサイドプランが除去抜きだったのも追い風だった。
4-1。成績よいのもうれしかったけど、久々に紙でパウパーができて、友人やいろんな人と交流できることが何よりも嬉しかったです。こんな場を設けてくれた晴れる屋横浜さん、愛しています。次も絶対に行きます。届けこの想い!!!
ダラダラと長文失礼しました。ボロス統治者に対する理解が少しでも深まれば何よりです。間違ってたらごめんなさい。ガハハ。