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3月1日 月曜日
曇り

友達と早く行くことを約束して、
久しぶりに朝から学校に行く支度をする。

学校は静かだった。
友達が待っている教室へ小走りをする。

「おはよう。」

こうやってみんなと挨拶をすることも最後。

SHRの時間が近づくにつれ、
クラスのみんなが教室に入ってくる。
この光景を目に焼き付けようと教室を見渡す。

すっかり賑やかになった
教室に担任が入ってきた。

「SHRはじめるぞー」

「起立、気をつけ、礼。」

先生が緊張しているとかなんとか喋っているが、
その話を聞かないで私は
友達のアルバムに寄せ書きをする。

「時間になったら並ぶように。」

その言葉を残して担任が教室を出て行った。
そしてまた教室が賑やかになる。

アルバムにメッセージを書く者。
いつも通りお喋りをする者。

時間になると教室は空っぽになった。

花の並んだ道に私たちは並ぶ。

「卒業生入場。」

その言葉と共に私は歩き出す。

式の最中は頭の中で今まであった思い出が
映画のように流れ出していた。

式が終わり、教室に戻る。

担任が教室に入ってきて、
すぐに卒業証書が渡される。


全員に渡されると、
次は一人一言ずつクラスや親に
メッセージを伝えることになった。

「まず、みんな卒業おめでとう。
楽しい毎日をおくれたのは
このクラスのみんなのおかげです。
ありがとうございました。」

普段騒いでいるのに最後は泣いた男子。
おもしろおかしく最後まで笑って終わる人。
親への感謝をしっかり伝える人。
泣きながら振り絞った言葉で話す人。
いい締めをしてくれた出席番号最後の子。

次は担任、副担任2人の話だった。
そんな時まで私は3年間を振り返っていて、
話も聞かず窓の外を見ていた。

担任、副担任に花束やプレゼントを渡し、
みんなで写真を撮った。

そのあとは部活での集まり。
例年通り在校生と顧問、副顧問から
メッセージと花束を受け取って、
みんなで写真を撮る。

友達と一緒に帰ることを約束していたから、
もう一度教室に戻った。
誰もいなかった。


写真を撮るために
後ろにさげられた机はそのまま。

黒板には
“卒業おめでとう”
の文字。

誰かが落とした花束のリボン。

自分の席に座って思い出を振り返る。
素敵な3年間だった。

何もできないことが悔しくて何度も泣いた部活。

友達とたくさん笑い合った休み時間。

授業中、お腹がなるからといって
内緒で食べたお菓子。

みんなで食べたお弁当。

たくさん語り合った放課後。

好きな人が手を振ってくれた廊下。

毎日騒がしい教室。

何気ない日々が1番の思い出。
でもきっと大人になったら、
この何気ない日々は忘れてしまうのかな。

たくさんの思い出が詰まった教室で
1人ずっと窓の外を見ていた。


もっともっとみんなといたかった。
もっと思い出を作りたかった。
ずっと高校生でいたかった。

でも素敵な思い出を作ってくれてありがとう。

私にとってみんな大切な仲間で友達です。

みんな卒業おめでとう。
またいつか。

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