投薬後フォローと、トレーシングレポートによる処方提案
「トレーシングレポートによる処方提案をして、実際に処方内容が変わった。患者さんも喜んでいたし、本当にやってよかった。でも、このまま終わりでいいのかな…」
自分が提案したとおりに処方が変更になった時、このような思いが膨らんでくると思います。
それは、患者さんが自分の推察どおりに良くなるのか、それとも予測に反する結果になるのか、今後の行方が気になるからです。
もちろん、通常の調剤業務も責任を伴いますが、自分から患者さんや医師に提案した処方変更には、それとは異なる責任と関心が生まれます。せっかく生まれたこの思いを、何事もなかったかのように流してしまうのはもったいないです。
そこで、投薬後フォローの出番です。
難しいことは何もありません。患者さんに、後日連絡をして、効果や副作用の確認をするだけです。
服薬指導時に「今回、以前お話ししていたとおりに薬が変更になったため、服用後の体調変化を確認したいので、後日薬局から連絡しますね。〇月〇日の〇時ごろに連絡させていただいてもよろしいですか?」と、あらかじめ患者さんに話をしておけば、トラブルも生じずスムーズです。「そこまでしてもらわなくてもいいよ~」という方も稀にいますが、大半の方には「お願いします!」と言っていただけます。
患者さんに連絡をする手段は、電話でもアプリでも専用ツールでも、お互いが利用しやすい機器であれば何でもよいです。患者さんが使用にストレスを感じないことが一番重要だと思います。
実際に連絡をとり、患者さんから話を伺えたら、是非その結果を医師に情報提供してください。いま、この世界でその患者さんの薬物治療に関する一番新しい情報を持っている医療従事者は、あなたです。処方内容を変更した結果、患者さんがどうなったか、医師は必ず気にしています。患者さんから聴取した薬効や副作用の最新情報は、医師にとって知りたい有益な情報であり、高い価値があるのです。
また、このようなやりとりを繰り返していると、医師の薬剤師に対する見方が変わります。ある医師に「薬剤師さんは、患者さんに薬の説明をしたり、処方箋のチェックをしている印象だったけど、こんなふうにしてくれると患者を一緒に診ているようだね。」と言われたことがありました。働いている場所は違っても、医師と薬局薬剤師の協働は可能だと実感した瞬間でした。
トレーシングレポートによる処方提案をしたあとは、投薬後フォローを実施し、得られた情報をアセスメントし、医師にフィードバックする。そんなあなたのことを、患者さんだけではなく医師も、きっと頼もしく思うはずです。