"空想日記"⚡️⚡️⚡️no.118
幸杜様が
地を蹴ると同時に
砂埃が舞い
周囲の木の葉や小枝を
風が巻き上げた。
爽一『うっ』
初 『わっ!』
私(爽一)は
突然の、旋風に
思わず目を細めた。
爽一『とんでもない方だ…。』
初 『……あれっ?
…父様はどこへ!?』
爽一『もう、行ったよ…』
そこには幸杜様の姿はなく
私の目でも
まるで捉える事が出来なかった…
ここに来るまでの道のりを
私は全速力ではないにしろ
それなりに急いで走っていた。
初や、幸杜様のことを思い
着いてこれるよう
速度を調整していたことが
急に恥ずかしく思えた。
思えば、幸杜様は
稽古場にたまに顔を出すのだが
どんなに頼み込んでも
稽古や組み手の相手をしてもらった事が
今までに一度もなかったのだ。
もしかしたら今日、
山長代理、空晴幸杜の
"本気"を間近で見れるかもしれない。
こんな時に不謹慎だが
私は少し胸が躍った。
『ガラァーン ゴロォーン…
ガラァーン ゴロォーン…
ガラァーン ゴロォーン……。』
雷鐘の音が三度、轟いた。
初『…禁足令。』
雷山の方を見上げて
初がそう呟く。
爽一『私達も急ごう。
速く追いつかなくては…』