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デジタルマーケ担当者が語る動画ローカライゼーションの舞台裏
こんにちは。デジタルマーケ担当の榎本です。
私はマーケティングチームに所属しています。
日本のマーケティングチームでは、アメリカの本社チームが制作したコンテンツをローカライズし、それらを国内のソーシャルメディア等に展開しています。ローカライズは言葉の「翻訳」だけではありません。その国の文化や嗜好に合わせた最適な表現に変えていくことで、より興味や関心を持ってもらう大事な作業です。
マーケティングの業務は、イベントの企画・運営、広告の出稿、メディアとの折衝などが目立ちますが、この記事では、外資系企業に特有のローカライゼーション業務について、最近私が担当したあるキャンペーン動画を例にお話ししたいと思います。
出演者は全員Akamai社員!?
ある日、本社からある一本の動画が共有されてきました。その動画は、Akamai によるNoname買収を機に制作されたものでしたが、これまでのAkamai の動画とは趣向がまったく異なるものでした。「なぜAkamai がNonameを買収し、API Securityはどう変わるのか」について、社員同士による丁々発止の会話でテンポよく説明される内容にまとめられていました。本社社員の演技力に驚くと共に、動画としても非常に魅力的で、即座にこの動画を活用したAPI Securityの認知度向上施策に取り組むことにしました。
こちらがオリジナルの英語動画です。
ちなみに動画に登場する社員は、現役のセキュリティリサーチャーやCIO、Noname社の元CEOなど、そうそうたるメンバーです。
クリエイティブの最適化における2つの課題
セキュリティ関連のコンテンツはしばしば言葉が専門的かつ難解な表現が多く、理解しにくいことがあります。この動画に関して言えば、APIに対する脅威について興味や知識がある方なら、内容がスッと入ってくるかもしれませんが、そもそも日本ではまだ脅威としての認知も低い状態です。単なる翻訳では、せっかく新鮮な映像が十分に活かされないリスクがあり、もったいないと感じていました。一方で、わかりやすさを優先しすぎて、内容が薄くなることも避けなければなりません。
また、映像のトンマナ(トーン&マナー)を変更することはできないという本社の映像制作部門からの制約もありました。
動画の内容をローカライズするにしても、ただ日本語に翻訳するだけでは伝わりにくさを払拭できず、情報を補足するための編集も許されない、2つの課題がありました。
関西弁に翻訳した理由
クリエイティブの課題解決策を考えている時に、「万博開催に向けて攻撃が増加することを懸念し、セキュリティ対策製品等の導入を検討している」と、あるお客様からのお問い合わせがありました。
大阪・関西圏企業での危機感が高まっていることをたまたま知ったことから、動画のスクリプトを関西弁に翻訳するという発想がひらめきました。親しみやすい言い回しや温かみのある話し方ができる関西弁なら、英語版のあの当意即妙かつ軽快なやり取りを的確に表現できると思ったのです。私自身、大阪に住んでいた経験があり、伝えにくい、難解な内容も柔らかく伝える表現として関西弁が適しているのではないかと考えました。
制作過程の裏話
関西弁のスクリプトについては、ChatGPTで関西弁の日本語翻訳文を生成し、その後関西・近畿地方出身の社員にレビューを依頼しました。製品担当と相談しながら、APIセキュリティの要点を押さえつつ、情報の濃度が薄まらないように気をつけてスクリプトを最終化していきました。
声優のキャスティングは代理店を通して行い、男性と女性それぞれ2名を選出しました。全員が大阪、兵庫、京都など近畿地方出身の声優さんです。フィッシングに関連した短編動画の制作も並行して進行していたため、特に主演の声優のキャスティングには注意を払い、明るく溌剌とした声を出してくれる方を選びました。
こちらが4人の声優さんの配役表です。4人で7人の声を演じました。
![](https://assets.st-note.com/img/1730090743-HPyblXk3deSMUZRhfioaVtTu.png?width=1200)
できあがった動画
完成した動画がこちらです。
方言レビューにあたっては、なるべく素の関西人が普段話しているような、自然な会話の中にどこか漫才を聞いているような軽快な表現を散りばめているのですが、お気づきでしょうか。最終的にはアテレコをして頂いた関西出身の声優の皆さんにも現場で細かい手直しをしてもらい完成しました。(プロダクトマーケ中西)
国内のAPIセキュリティ普及の一助に
日本語版動画はAkamai のYouTubeチャンネルに公開しています。
APIの脅威防御については、10月23日に公開されたガートナーの「日本におけるセキュリティハイプ・サイクル」において幻滅期に位置していますが、ここから一部の早期採用企業が最初の障害を克服し、イノベーションにおけるメリットを見出し始め、普及が広がることが期待されています。
この動画を通じて、APIが保護が必要な脅威ベクトルであるという認知が広がり、脅威への対策を進めていただくきっかけになれば幸いです。
APIセキュリティについてご興味をお持ちの方は、以下のオンデマンドウェビナーや、毎月開催している、API Securityの製品紹介・デモ、ワークショップにご参加ください。
APIセキュリティのオンデマンドウェビナー「強化されたAPI Security - API特有の攻撃と対策の要点」