「美しい」の研究報告(6月)
Time
旅をするということ
一週間と少し、一人でデンマークとスウェーデンへ出掛けたのが6月。
海外へ一人旅するのは生まれて初めてで、思いつきで出掛けたので人と会う予定以外はほぼノープラン。前日にざっと何をするか決めて、当日は目的地に向かって歩きつつもその道中の偶然を楽しみ続けた旅だった。この旅のスタイルが私にはとても合っていて心地よかった。道中の思いもよらぬ出会いに心躍らせたり、ちっちゃな不運にびっくり笑っちゃったり、見知らぬ人の優しさにときめいたり。これぞ旅の醍醐味と感じた。北欧ならではの美しい緑や光に癒やされ続け、旅前に強張っていた心をがどんどん解けてゆく。
そもそもこの旅自体、思いつきで決めたので出発前は「誰にも求められてないのに、なぜ旅をするのか?」という考えが頭の中をぐるぐるしていた。しかし、旅を経て「人生は旅みたいなもんだ」ということを思い出すために旅に出掛けるんじゃないかと思った。目的地に向かって歩みを進めつつ、道中の偶然の出会いや出来事に喜び驚き感動して、また目的地を目指す旅路に戻る。
日本で仕事をしていると一刻も早く目的地に辿り着くこと、目的達成のために無駄を省くことを常に求められる。もちろん利益を追求する上ですごく大事なことだけど、それ故、日常生活の中で無駄に感じることを嫌うようになった気がする。
近道ではなく寄り道の中に実は美しいカケラが散らばっていること。そのカケラをそっと掬い上げることに人生の喜びがあること。そんなことをこの旅で教えてもらった気がする。
Taste
コペンハーゲンでの語らいの夜
北欧での一人旅中、幸運にもデンマークに住む友人とコペンハーゲンで再会することができた。彼女とは久しぶりの再会。お互いの近況報告とデンマークでの暮らしの話、話し始めると止まらない。6月のデンマークの夜は短い。19時でも昼間みたいに明るくて、21時を過ぎてやっと夜らしい暗さになる。いつまで経っても夜が訪れないことをいいことに、お店をハシゴしてコペンハーゲンでの夜を楽しみ尽くした。
愛しい友人とこの時期、この場所、この年齢で共に時間を過ごせることは奇跡のようで、時間が過ぎていくのがどんどん惜しくなってゆく。必死に時間を繋ぎ止めるように語り続けているとあっという間に日付が変わっていた。
夜の月明かりに照らされた二人の時間は、何度も訪れるものでもない。けれども、彼女との尊く刹那的な時間は今も私の心にずっと輝いている。
(このとき巡った美味しいレストランは以下)
📍Apollo Bar
📍Delphine Restaurant
Product
旅先で出会った石
Visbyというスウェーデンのリゾート地を訪れた時、美しく広大なバルト海を目の前に必死に石拾いをしていた。(こんな場所で石拾いをするのは恐らく私くらいで道行く人に不思議そうに見られた)色も形も表情も、海岸に数多ある石はどれもこれも唯一無二で、夢中になって愛おしい石を拾い集めていたらすっかり遠いところまで来てしまっていた。全てを持ち帰れない悲しさを噛み締め、選りすぐりの石たちを手放したった一つの石を持ち帰った。カフェラテをゆっくり混ぜたようなクリーミーな色合い、マットな肌触り、形はよく見ると犬か鳥のようにも見える、そんな不思議な石をお土産として持ち帰る。この一つを選んだことに大きな理由はないけれど、それでも偶然出会ったこの石は今でも触れるたびに無邪気に石拾いをする自分の少女心を思い出させてくれるので大切にしている。
Book
自分ひとりの部屋
「女性が小説を書こうと思うなら、お金と自分ひとりの部屋を持たねばならない」(自分ひとりの部屋/ヴァージニア・ウルフ)
〈女性と小説〉の歴史をテーマにしたある一人の女性の講義録であり、フェミニズム批評の古典。創作活動をするならば前提となる物理的条件と社会的条件が必要だ、しかし昔は女性はそれらを持つことが許されなかった。そんな時代の中でもひたむきに創作活動を続けた女性の話、よく知る小説の中で描かれる女性像、この本の中で今まで知らなかった事実や歴史を知った。昔と比べ今は女性も活躍しやすい社会となり、女性作家も沢山活躍している。しかし、一人の女性として、現在女性を支援する仕事をする自分として、こういった女性を取り巻く暗い歴史にもっと向き合っていきたいと感じた一冊だった。
📍 「自分ひとりの部屋」
Other
夢と、憧れと、その先
「いつかやりたいことリスト」の中にあった一つの「海外一人旅」があっさり叶ってしまった6月。幼少期から自分の頭の中に転がる小さな夢を叶えていくことは大好きだけど、「まだまだ先かなあ」という夢を叶えてしまう瞬間は、いつもちょっぴり怖くなる。この夢を叶えてしまったらこの先、何を目指して生きていけばいいのだろう不安になるからかもしれない。「海外一人旅」もその一つだ。そんなこんなで、6月は「まだまだ先かなあ」の夢が一つ叶ってしまったわけだが、夢が叶うと、面白いことにまた一つ新たな、それもまた一回り大きな夢が芽生える。憧れ、熱望し、夢となり、それが叶い、また新たな夢のカケラに出会う。そうやって夢は繰り返されていく。だから、大小関係なくどんな夢も憧れも尻込みせずに積極的に叶えに行きたいね。一人旅の帰り道そんなことをぼんやり考えながら飛行機に乗っていた。
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