いちばんすきな花 第1話
※ネタバレを含みます
まるでそよ風のような違和感
「昔から、2人組を作るのが苦手だった」
「昔から、2人組にさせてもらえなかった」
「昔から、一対一で人と向き合うのが怖かった」
「昔から、一対一で向き合ってくれる人がいなかった」
それぞれが抱える「2人組」の捉え方を表すセリフとともにスタート。
あれ…全部心当たりがある…
すでに、期待を裏切らない素敵さ!!
そこを掬ってくれるのかー!
という、繊細な心の内を描写する言葉の選び方が秀逸すぎて、実に優しく、だが、がっしりと、心を鷲掴みにしてくる。
私もそうだった。
子供の頃から、絶妙な空気感が漂う瞬間のひとつが、2人組。
日常的すぎて、簡単にとおりすぎてしまう、まるでそよ風のような違和感。
それを1ミクロンも取りこぼさないよ、という気概を感じられるのが、もうたまらなく大好きだ。
2人というのは難しい
「2人である人たちには理由や意味が必要になる」
4人が椿さんの家に入る前、玄関先でも
「同じくらいの年齢の男女が並んでいるからって夫婦ですか?っていう固定概念、よくないですよ」
というやり取りをしていた。
ほんとそれ。
って思いながら聞いてた。
男女でいれば、夫婦ですか?付き合ってるんですか?
って聞かれるあれ、そうだったらどうで、そうじゃなかったらどうなんだろう?
これからも関わりが続くであろう人との会話の中でならまだ理解できるけど、初対面だけの関係性で聞かれるのは、謎。
社交の場での、それこそ、そよ風のような他愛のない挨拶程度のことなのだろうけど。
そんなことに引っかかりを感じる人種もいるんだぁ、ここに。
繊細は生きづらい
2人組に生きづらさを感じながら生きていた繊細な4人の感覚は、たぶん、共感できる人と理解できない人と、ぱっくり分かれそうな気がする。
私もこれまで生きていて、そうだったから。
繊細な人は、繊細さを理解できない人のことをおおよそ理解するし、少なくとも即座に認識することができる。
「あ、理解してもらうの無理な人だ」
って。
でも、繊細さを理解できない人は、繊細な人の感覚を共有することはできない上に、理解できないのにわかろうとして質問攻めにして、結局わからないから「わからないよ」と言って、繊細な人をさらに傷つけることを知らない。
私も一緒にいる人を間違えて、本来傷つかなくていい所で随分傷ついてしまった類。
余りものになりたくない、を気にしすぎて疲れて。
あまり仲良くない人とペアになっちゃって、気を使いすぎて気まずくて。
毎日一緒にいると、相手の悪気がない且つ何気ない言動が、自分の心にジワジワと侵食してくる感じが嫌になっちゃって。
この感覚を伝えようとしても、
「わからない」とか
「考えすぎ」とか
「そんなことで」と言われて、
大好きだったはずなのに分かり合えないことにまた傷ついた。
そのうちに、心を閉ざすと同時に口を閉ざし、言葉で伝えることを諦めて自らフェードアウトするようになっていた。
その感覚を、一般人として生きる私よりずっと分かりやすく丁寧な言葉で表現してくれている。
私にとっては、救世主みたいなドラマだ。
たぶん、このドラマを見て、わからないとか、もやもやを超えてむしろイライラしたりとか、敬遠したりとか、興味すら抱かないとか、そういう人もきっといらっしゃると思う。
これまでの私に対して、そんな反応が返ってきたことがあったから。
そういう人は、私とはちがう星の人だろうし、そうだとしても構わない。
こんなに丁寧に表現してくれるドラマに出会えたから。
「いてもいなくても同じで、便利な時だけ使われる」
「聞こえないけど、何言ってるかわかるやつでした」
「みんなのいい人にはなれるのに、誰かひとりの一番好きな人にはなれなくて」
「上手に2人組を作れないと、大人になっても…こぼれ落ちちゃう」
またもや、心当たりのあるセリフばかり。
2人組で、深い関係性になるのが苦手で、なりたくてもなれなくて、まともに傷ついたり、傷つくのを察知して逃げてしまったり。
「2人組になれなかった4人。」
「4人全員、余っちゃったひとり。」
繊細な人の心情を丁寧に掬ってくれる。
曖昧な感覚を言語化してもらえると、なぜだかすーっと視界が晴れて、心が癒されるものだ。
ちなみに余談ですが、椿さんが、コーヒーを淹れたピンクのマグカップを、ゆくえちゃんに渡しかけて紅葉くんに差し出すシーンは印象深かった。ほんとうに何気ないけど。
ピンクだから女の子に、っていう固定概念やめとこ。
の、言動だなぁって。
それくらい、細かやかな表現で全てに意図があるのがすごい。
とことん繊細な人向けドラマだなぁって。
不思議な価値観を持つ「繊細」という人種の世界観に連れて行ってくれる。
リアルとの境界線の国に迷い込む気分で、これからも楽しみに観たいと思う。
いちばんすきな花 公式ページ STORY ①
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