男の歌、女の歌@ジャズ
日本だと、女の心情を男が歌うのはそう珍しくない気がしています。
♪あなたのために守り通した女の操〜
これを殿さまキングスが歌うわけですから。
若い方はご存じない?笑
でもポップスとかでも少なくないですよね。
福山雅治とか、ポルノグラフィティあたり、すぐに思い浮かびます。
でもこういうのって世界共通ではないと思う。
少なくともアメリカにおいては、というかジャズにおいては、男は男の心情を歌い、女は女の心情を歌う。
男女どちらが歌っても違和感のない曲もあるし、“彼女“を“彼“に入れ替えたりして歌う場合もありますよね。
例えばGirl from Ipanema
https://www.youtube.com/watch?v=a8wcZUUXJFs
イパネマ海岸でいつも見かけるステキな女の子に微笑みかけるけど振り向いてくれない、という男性目線の歌。
女性が歌う時はアストラッドジルベルトみたいに“イパネマの娘と彼のこと”を第三者目線で歌うか、一人称で「ステキなイパネマの少年が振り向いてくれない」って歌うか、というパターンがあります。
ちなみに私はBoy from Ipanemaで歌ってます。微妙に情景は変わってきます。
Satin Doll
これも女性が歌う場合は一人称か、三人称か、ですね。エラとかは一人称で歌ってます。「私のサテンドール」、ってことですね。
https://youtu.be/ThpNKAZWKak?si=FxmUFYQWW6Mg1GWv
でも私は三人称で歌ってます。だってサテンドールって名前(愛称)の男は変だなあって思うから。
キセルをくわえて肩越しに男を品定めするかっこいい女性。
「ティファニーで朝食を」のオードリーヘップバーンが思い浮かぶ。
男がサテンドールに相手にしてもらえない、それを傍から見てる、っていう線のほうが、私としては歌う時しっくりくるんですよね。
こんなふうに歌詞としては齟齬がなくても、見える絵はだいぶ違ってきます。
歌詞は、彼や彼女の入れ替えだけではない場合もあります。
Nearness of youを歌う時
♪When you’re in my arms…
を
♪When I’m in your arms…
と歌う女性ボーカルの方は多いような気がします。
腕の中に抱くか抱かれるかの違いですね。
でもまあ私は抱くほうで歌ってます。
女が腕のなかに男を抱いてもいいじゃないか、って思うから。それと、細かい話だけどWhen You’re.. のほうが音的に歌いやすいってのもあるかな。
Love for Sale
これは圧倒的に女性の歌い手が多いような気がします。
男性が歌うとそこは男娼の世界。
あ、トニーベネットとかボンジョヴィが歌ってる。
なんでこんなことを書いてるかっていうと、It’s alright with me を男性ボーカルが歌ってるのを聞いたから。おかしくはないんですよね、未見ですが大元のミュージカル「Can Can」では男性が歌ってるはず。「High Society」では女性が歌ってるみたい。
女性が歌うとちょっと小悪魔的な、背徳的な雰囲気を感じます。
♪この顔は、この微笑みは、唇は彼のじゃない
でもとても魅力的
時間がある時にでもどう?
私ならいいわよ
これを男が歌うと、ただの、よくいそうな浮気男…?
(個人の感想です、歌っている男性ボーカルを批判するものではありません!)
やっぱりその情景を感じてほしいわけだから、歌詞がしっくりくるかどうかは、私にとっては大きい。感じ方は人それぞれだから自由ですけどね。