外伝:紙の文豪はwebでも通用するのか??
りをくさんが文樂部をはじめました!美しい文章を楽しむ力を養いながら、自らの文章力を鍛えていく部活なようです。ステキですね♪頑張ってくださいm(__)m。
で、マガジンを拝読していると、たまにしか活躍しないボクの脳みその中でも、かなり隅っこの方で、それこそオリンピックイヤー以外は寝ている妄想癖のある小人3号がむくっと起きてきました。
学校の教科書に出てくるような文豪が「web用の小説書いて」と編集者に頼まれたとしたら・・・。
そうね、紙よりもwebの方が出だし勝負って言われるもんね。文豪さんらも「web用」にインパクトのある出だしに書き直すかな??
そういえば、文豪の皆さまはどんな書き出しだったかな?ちょいと青空文庫を見てみました。
『坊ちゃん』夏目漱石
親譲りの無鉄砲で小供の時から損ばかりしている。小学校に居る時分学校の二階から飛び降りて一週間ほど腰を抜かした事がある。
『注文の多い料理店』宮沢賢治
二人の若い紳士が、すつかりイギリスの兵隊のかたちをして、ぴかぴかする鉄砲をかついで、白熊のやうな犬を二疋つれて、だいぶ山奥の・・・
『人間失格』太宰治
恥の多い生涯を送って来ました。
自分には、人間の生活というものが、見当つかないのです。
ありゃりゃ。インパクトありますね(汗)。唐突に始まっているのにも関わらず読み進めたくなりますね。『人間失格』は子どもが読んでも「?」ですが、大人が読むと・・・。
他にも名作は多いですが、入力するのが大変なので・・・このくらいで勘弁を。
とはいえ、見比べていて『文藝春秋』を創刊した菊池寛さんの出だしが面白かったので、もう少し頑張ります・・。
『イワンの馬鹿』トルストイ、菊池寛訳
むかしある国の田舎にお金持ちの百姓が住んでいました。百姓には兵隊のシモン、肥満のタラスに馬鹿のイワンという三人の息子と、つんぼでおしのマルタという娘がありました。
『恩讐の彼方に』菊池寛
市九郎は、主人の切り込んで来る太刀を受け損じて、左の頬から顎へかけて、微傷ではあるが、一太刀受けた。自分の罪を・・・
『真田幸村』菊池寛
真田幸村の名前は、色々説あり、兄の信幸は「我弟実名は武田信玄の舎弟典厩と同じ名前にて字も同じ」と云っているから信繁と云ったことは、確かである。
さすが編集者!作品の特性、想定される読者に合わせて出だしを変えてますね。
他の童話を見ると、
『シンデレラ』アンドルー・ラング再話、大久保ゆう訳
むかしむかし、ひとりの男のひとがいました。男のひとはある女のひとと二かいめのけっこんをしたのですが、・・・
のように状況を解説するところから始まっています。日本昔話もそうですね。お子さんにはこの方がストーリーが入りやすいのでしょう。
『イワンの馬鹿』は少し子ども向けなお話なので、菊池さんは踏襲したのかな?
『真田幸村』は、題名からして歴史好きが対象なので、いきなりうんちくたれてますよねー。マニアにはたまらないかと思います。
『恩讐の彼方に』も、当時だと時代劇ファンに響く題名だったのかな?THE時代劇な感じの出だしですねー。
ということで、職業ライター(も)やっているなら、そもそも勉強しておけよー(怒)なんて声はさておき、紙の文豪の「出だし」は素晴らしい!ということがわかりました。
厳密に言えば、webだと一話の文字数を減らしたり、小見出しを上手くつけたりと、「出だし」以外のテクニックが必要になると思いますが、まーー、webライターも文豪に学べることは多いのではないでしょうか?
凄いなーと思うwebライターはたくさんいらっしゃるのですが、その方に追いつくためにも紙の文豪様の作品を研究したいと思いました。
こんな視点に気づくきっかけを下さったりをくさんに感謝です♪
ではでは。。