サイバーパンク2077レビュー 期待との乖離。ブレードランナーや攻殻機動隊に及ばなかった暴力的ゲーム。
1.ブレードランナー的世界観をビジュアルでの具現化(建築物)に成功。一方で、音楽に深みはなく、他疑問に感じる点もあるオープンワールド。
まず筆者は、ブレードランナーがとてもとても大好きです。自分のベストムービートップ10に入ります。それくらい好きです。(前提)
さて、ゲームですが、
ナイトシティのアートディレクションにはあっぱれでした。
↑ナイトシティのラーメン看板
片仮名やハングルを見つけると、ブレードランナーを思い出します。
ジャッキーの食事シーンは、デッカードから着想を得てるのは間違いないです。
エヴリンは映画のジョイ。
本ゲームでいうブレインダンスで使用するガジェットアイテムも映画中の目の検査っぽい。
ブレードランナー大好き人間にとってみたらこれ上なく堪らないゲームです。
ここにもブレードランナー!ここにもブレードランナー!なんて思います。
余すとこなく、ブレードランナーの世界をゲームに落とし込んでおり、その世界の隅々を探検可能なのは、やはりゲームだからこそです。サイバーパンクというジャンルでは様々な芸術作品が出されてきました。その中で、探検という点では、サイバーパンク2077でしか味わえないオンリーワンな体験です。
↑ジャッキーの麺 デッカードの麺↓
↑エヴリン ジョイ↓
オープンワールドという点では、GTA5と比較すると面的には狭いマップです。ただ、立体的にはGTA5を遥かに凌駕しており、濃密で複雑に入り組んだマップでした。
ファストトラベルポイントは多く配置されていて、自動運転でいつでもどこでも車を呼び寄せられたり等プレイヤーへの配慮もされています。
ただ、言わせて欲しいことがある。
原作なら、もっと人が"密"!!!と。
また、PCならば改善されていたかもしれないが、住民の生活感がないのは如何なものでしょうか。
例えばずっと食事を取り続ける警官とか、、、
あと音楽が全体的にうるさかった。ラジオをつけると、パンクロックやメタルばかりでそこから全く聴かなくなった。
2.群像劇を彩るキャラの個性と歯痒さ。
キャラは個性的で良かったです。
こんなに会話が面白くて、多岐にわたっているなんて想像を遥かに超えていました。(ローカライズgood)
私の推しメン第1位はジュディですね。はい。
可愛い+孤独なんだけど、仲間思いで素直。+欲望だらけの野蛮な街で、悲しさを内包している。
ほんとにいいキャラだった。
たまにラインのようなメッセージで、旅先の写真を送ってくるジュディ。友達みたいでいいんですよね〜。
第2位はジョニー
登場シーンは痺れた。演技力はまあいつも通りのキアヌ(上手いとは言わない)。やっぱりかっこいい、カッコ良すぎる。フォトモードで遊びまくりました。
第3位はジャッキー
ジャッキーと遊んだのは楽しかったです。訛りが独特で面白い。ムードメーカーで頼もしい相棒です。
さて、問題点なのですが
暴力と欲望の街に生きる人間の悲しさや切なさ。そして希望をもっと感じたかったです。ここが本当に痛い。
確かに、ブレードランナーのような”生への執着”という点は見られたけれど、、、
こういった沁みるセリフに出会う事はありませんでした。
音楽でも ”Tears in Rain”のような曲欲しかった。
悲しさを内包しているキャラとしてジュディを挙げさせてもらいます。当然、ジョニーだってパナムだって皆んな抱えてます。最もそういった心の機微を一杯見せてくれたのはジュディでした。
やはり、サイバーパンク2077は全体的に暴力に傾倒しすぎていたのではと思ってます。
3.可もなく不可もないストーリーだが、ボス戦は悪い。
メインストーリーは間延び感をあまり感じなかったので、その点は良かったです。ただ、ナイトシティは散々大きいとか謳われてたわりに、こじんまりとした話でした。
3つの章で区切られたメインストーリーの構成で最も優れていたのはACT1でしょう。スピーディで目まぐるしく、走り続けるドラマに驚かされました。逆に言うと、この物語のピークはACT2の導入部であったのではないかと感じています。
以下問題点です。ネタバレになるので、深く言及しませんが
ストーリー上設置されたボス戦は、はっきり言って寂しく、味気ないです。ボス戦という意味で、熱くなれるような演出はもっと可能だったのではないかと感じています。
アラサカ戦闘員(雑魚戦)と戦う回数が多かった分、ボス戦は希薄だったと評価せざるを得ません。
(↑風俗店の職員
4.バグについて(PS4の臨界点)
色々言われてるので、私があえて言う必要はあまりないと思います。ちなみに、私は30時間のプレイで3度クラッシュしました。個人的にイライラする事はありませんでしたが、イベント戦で銃が消えるバグ、イベントで謎の線が入るバグには幻滅しました。後、ロードがとても長くて、回数が多い場面がありました。PS4の限界なんでしょうね。。PS4の限界を幾度も感じました。
5.凡庸ではあったが、面白い戦闘と不都合なシステム。
革新的な戦闘ではないですが、様々なプレイスタイルで楽しめる面白い戦闘だと思います。
FPS視点と画面酔いにはプレイ前懸念してましたが、実際問題ありませんでした。ただ、クラフト要素の分解を一つずつ行わないといけなかったり、不便な要素を感じることは多々ありました。
また、会話の文字が小さくて読めない問題には何とかして欲しかったです。
また、UIが明らかなマウス仕様になっており、操作しにくい。
6. 総評
現世代機の限界に達したある意味、PS4最終年に相応しいゲーム(皮肉を含む)でした。
素晴らしい点はあったものの、キャラ描写、バグ、ストーリー、システム等々ほぼ全ての要素に欠陥を抱えていたと思います。
これだけははっきり言わせてください。
ブレードランナーの1ファンとして、サイバーパンク2077は確かに僕を楽しませてくれました。
しかし、その反動もあり、不満点を感じたのも事実です。
やはり、サイバーパンクというジャンルにおける芸術作品としては、私的には映画が最も素晴らしかったのだと再確認させられました。
おわり(フォトモード楽しかったです。)
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?