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日記0010あるいは温泉と肉巻きトマト
ㇲイッ黹
できることから先に進めていたら、できないことばかりが残ってしまった。
「困ったときは首の後ろにあるツボを刺激するといい」
上司のあまりためにならないアドバイスに従い、首の後ろに触れると、小さな突起があった。どうやら何かのスイッチらしい。私はそれをニキビでもいじるように触り、それから指先でぐいと押し込んだ。
何も起こらない。しかし、スイッチは起動してしまったのだろう。
ブゥゥーーン……。
サウナのないところ
いまだにサウナブームが続いていることに驚いている。仕事が早く終わったため、温泉に行くと、サウナ前に行列かまあり、一方、温泉は空きがあった。
「整った」
「おれはここじゃ整わん」
そんな声が聞こえた。
整う、は私にとってどちらかといえば、乱れるといった印象で、子どもの頃、ぐるぐると回って真っ直ぐ立てなくなった感覚を思い出す。大の大人はぐるぐる回れないから、代わりにサウナへ行くのかもしれない。
私は天邪鬼な性格のため、あえて、サウナのないところに最近通っている。東京都のおすすめを2店舗紹介する。
【日暮里 斉藤湯】
住所
116-0014
荒川区東日暮里6-59-2
定休日
毎週金曜日
営業時間
14:00~23:00
感想というか叫びのようなもの
熱めのお湯、なんて可愛いものではなく、熱湯風呂と呼びたくなる温度。となりには、ややぬるめの水風呂があり、そこで身体を冷やしてからでないと挑めない。
入っていると、皮膚がパリパリになる錯覚が起こる。肌が段々と茹でたエビのように赤くなる。逃げるように水風呂に入り、「あんな熱い風呂に二度と浸かるものか!」と憤るのだが、数分後にはまた熱さを体感したくなる不思議さ。炭酸風呂、電気風呂、露天風呂など充実しているが熱湯風呂じみた熱めの湯が忘れられない。出たあとも1時間以上、全身がポカポカしていた。
【ふくの湯】
住所
〒113-0022 東京都文京区千駄木5−41−5
定休日
毎週木曜日
営業時間
11:00〜24:00(毎週土・日・祝祭日は8:00〜24:00)
感想というかぼやきのようなもの
まず、佇まいがよい、何とも綺麗な建物。中にある富士の絵も「子供の頃にイメージしていた銭湯だ」、としみじみできる。他にも豪華な鳥やら何やら、和の生き物たちが壁に描かれており、美術館気分を味わえるのも一興。
中でもよいのが、一人用水風呂。浴槽に冷たすぎない水が張られ、サウナ用の水と違い、うとうとすらできる心地よさ。熱めの薬湯の前後にちょうどいい。
過程料理
家庭料理、はよく目にする。しかし、そのお店は過程料理と書かれていた。中に入ると前髪だけレインボーに染めている妙齢の女性が料理を運んでいた。
「いらっしゃいませ」
料理は普通に提供され、とくにトマトの肉巻きは絶品だったが、なぜ、過程料理と看板に書かれているのかは謎のままだ。