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ケーススタディ(上級)

医師国家試験の問題を改変したもものです。

問題

ある疾患に罹患している検査前確率が0.1% と観測される。感度90%、特異度80%の検査を行う。この検査で本当に患者が罹患している確率(陽性と診断された人が陽性であることを示す陽性的中率)をAからEのうちから選びなさい。

検査が陽性だった場合の検査後確率で正しいのはどれか。
A 0.45%
B 0.9%
C 4.5%
D 9.0%
E 20.0%

前説


前回の記事で有病率と書きましたが正確には検査前確率です。有病率0.1%とは人口が100,000人だとすると100人が発症していると言うことになります。無症状患者について、そもそも症状がなければ発症していると言えるでしょうか?いえ、この場合は単なる無症候群性保菌者と呼ばれます。

ここで注意すべき点があります。無症候群性保菌者であるということ以外に、ウィルスを既に撃退してしまった後にウィルスの死骸が体の中に残り(一定期間そのDNAは残ってしまう)、それが検知されてしまう場合もあります。

感度と特異度の意味も以前の記事で紹介した通りです。

知っておきたい公式

上記の問題の表を計算しやすいように書き換えました。
感度=A/(A+B)
特異度=D/(C+D)
偽陰性=B/(A+B)
偽陰性=C/(A+B)
陽性的中率=A/(A+C)
陰性的中率=D/(B+D)
陽性率=(A+C)/(A+B+C+D)
陰性率=(B+D)/(A+B+C+D)
正確度=(A+D)/(A+B+C+D)

知っておくべきこと

検査は感度と特異度がともに高い検査ですが理想的と言えますが、感度と特異度の関係は二律背反(トレードオフ)の関係にあり、つまり感度を高くしたい時(A)を増やしたいときは偽陰性(C)が多くなってしまいます。偽陰性(C)と陰性(D)の合計は一定ですから偽陰性(C)が多いと言う事は陰性(D)が少ないということになります。

答え

今回のケーススタディーで求められるのは陽性的中率(A/(A+C))です」。実際に陽性ち出た場合における信頼度で、陽性という検査結果が正しいかの確率です。
上記の式と表より
9/(9+1,998)=0.0044843(0.45%)となります。

なので答えはCの4.5%
皆さんは正しく計算ができましたか?

※今回の記事は正確性を上げるために札幌西円山病院の記事をベースにしています

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