孤独人のふしぎな世界
夜のドライブの帰り、野良猫が車の前をサッと通り過ぎた
私はすかさず、この光景を頭の中のポケットに入れた
ガスの点検が来た次の日、ガスコンロは不調でポーチドエッグを茹でるのに45分掛かった
この出来事も、頭の中のポケットに入れた
私の頭の中のポケットには
こんなおかしな出来事や当たり前の日々をピリピリと切り取ったエピソードをたくさん詰めてある
子供の頃に好きだったマンモス
本で読んだミイラの作り方
ファーブルが教えてくれたのは、フンコロガシはスカラベと言う神聖な生き物だと言う事
それから、マッコウクジラとザトウクジラの事
シロナガスクジラはそれほど好きではないのでポケットの中には入れていない事
他にも色々と日常では到底役には立たないものばかりを詰め込んでいる
子供の頃からこんな物を本の中や日常から探す事が好きだった
今でも、おかしな出来事は小さくひとりで召し上がり
にやっとしたり、はっとしたり
つまらない事にひとりでこっそり喜んで
ぶつぶつひとり事をつぶやき
ポッケに入れる
ひとり時間の長さ
孤独の中で培った武器とも言えるものはたくさんあるけど
その中でもこの私の頭の中の隠しポケットの中に入れるコレクションを日常で見つける事は
単調な日々を楽しくする自分なりの生存戦略だと思っている
むしろ、生存戦略を通り越して
すでに癖にもなっている
!!!と来たら頭から手が出て
シュッと自動的に、ポケットに入る
言わば、全自動おもしろがり機
そんな私の目標は、いつか不思議の世界に続く入り口を見つける事
もしくは、誰も見たこともない奇妙な生物と友達になる事だ
E.T.とか、トトロの巣穴への道みたいなそんな物
とは言え、そんな事を考えているのは
大人として、親として少し困るので
これも頭の中のポケットに入れてある
そうして、何かが熟成した頃に料理する予定
このポケットを逆さまにぶんぶんと振って
出てきた面白い事が
いつか行きたくてたまらなかった不思議の世界を本の中に表現できる日が来るように
私にそっくりな子供たちが
一時、夢の世界で自由に遊べる様に
akaiki×shiroimi
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